フィンテック企業「Revolut」、仏に10億ユーロ出資──パリに西欧本社を新設へ

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仏顧客、2030年までに2,000万人目指す

欧州最大規模のデジタルバンク「Revolut(レボリュート)」は19日、フランス市場への大規模投資と事業拡大計画を発表した。今後3年間で10億ユーロ(約1,628億円)以上をフランスに投資してパリに西ヨーロッパ本社を新設し、少なくとも200人を新規雇用することを目指す。あわせて、同社は現在、フランスの金融監督当局ACPRへの銀行免許申請プロセスに入っていることも明らかにした。

レボリュートは、2015年に英国ロンドンで設立されたフィンテック企業である。銀行口座サービス、デビットカード、外貨両替、株式取引、暗号資産(仮想通貨)取引など、多岐にわたる金融サービスを提供。設立からわずかな期間で急速に成長している企業として知られる。特に、従来の銀行と比較して低い手数料体系や、多様なサービスを一つのアプリで完結できる「スーパーアプリ」戦略が、急速な顧客獲得と成長を支える大きな要因となっている。

レボリュートにとってフランスは、現在500万人の顧客を擁するEU域内最大の市場である。同社は、2026年末までにフランス国内のユーザー数を1,000万人に、2030年までには2,000万人に倍増させる目標を掲げた。

レボリュートは現在、グローバルに銀行免許の取得を積極的に進めており、世界で10件の申請が進行中とのこと。同社はヨーロッパ全域で有効な銀行免許をすでにリトアニアの中央銀行から取得しているが、フランスでの免許取得により、同国での事業基盤をより強固なものにする狙いがある。

レボリュートのポストでは、Netflixの人気ドラマ「Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)」の主人公エミリー・クーパーを意識して、「Move over Emily(エミリー、ちょっとどいて)」と表現している。自社がパリ市場でエミリーのように、あるいはそれ以上に大きな注目を集め、影響力を持つ存在になるという意気込みをあらわしたものだろう。

今回の投資と銀行免許申請は、レボリュートがヨーロッパ市場、特にフランスでのプレゼンスを飛躍的に高めるための重要な一手となる。フィンテック業界の競争が激化する中、レボリュートの今後の展開が注目される。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=162.81円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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