ビットコイン、バブル相場の天井はどこか
オンチェーンアナリストで「CryptoQuant(クリプトクアント)」の認定アナリストであるMaartunn氏は8日、「ビットコインは現在価格の100,000ドル付近が天井であり、今後は下落相場に転じる」と自身のXで予想し警鐘を鳴らした。
過去30日間で長期保有者が大量売却
同氏は、ビットコイン長期保有者のネットポジションの変化を表すデータを基に解説。「過去30日間でロングタームホルダー(長期保有者)が827,783 BTCを売却したことが確認され、これは市場の弱気なシグナルの一つだ」と述べた。また、この動きは価格調整の前兆とも捉えられ、別の複数のオンチェーン指標もこれを裏付けていると語った。
CCDが示すビットコイン価格のピーク
さらに同氏は、ビットコインの下落を示唆する根拠として「Coin Days Destroyed(CDD)」というオンチェーン指標を使用してさらに説明した。
CCDはビットコインの価値と動かなかった日数を掛け合わせたもので、長期保有者の行動を反映しているとされている。この指標を観察することで、ビットコインが現在の価格サイクルのどの位置にいるのかを把握することができる。特に活発な取引が行われる期間(赤で示された期間)は、長期間保有されていたビットコインが売却され、取引量が急増するタイミングを示しており、上昇相場での最後の急騰が起こりやすいと言われている。
「売却が進む中でCDDの増加が見られることは、長期保有者が売却を決断した証拠である」と同氏は主張を裏付けた。
強気派と弱気派が拮抗するビットコイン市場
一方で、業界最大手である「Microstrategy(マイクロストラテジー)」が多額のビットコインを購入していることに対して、同氏は「市場全体の規模はそれを遥かに上回り、長期保有者の売却量が圧倒的に多いため、全体的なトレンドは弱気方向に進んでいる」と述べた。過去30日間でマイクロストラテジーは149,880 BTC、ビットコインETFは84,193 BTCを買い入れた一方、長期保有者の売却量は -827,783 BTCに達している。
また、同氏は市場の残りの買い手について「主に短期トレーダーや個人投資家で構成されている」との見解を示した。このような小口投資家は、強いトレンド時に積極的に市場に参入する傾向があり、小売需要30日変動を示すチャートでは年初来高値を更新していることが確認されている。
さらに、個人投資家は先物取引にも積極的に関与しており、アルトコインの未決済建玉は533億ドル、ビットコインは306億ドルに達している。未決済建玉とは、未決済のデリバティブ契約(オプションや先物など)の総量を指し、その増加は多くのトレーダーが投機的な取引に参加していることを示している。
これらの投資家たちは相場の急変時に大きなリスクを抱える可能性が高く、同氏はそうした急激な市場変動に備える必要があると警鐘を鳴らした。
極度の過熱感に対する警戒感強まる
さらに、同氏は「Crypto Fear &Greed Index(仮想通貨恐怖と欲望指数)」を用いた分析も加え、現在の市場に「過剰な欲望」が確認されていることも警戒材料の一つだとした。一般的にFear&Greed Indexは、投資家の心理状態を把握し、市場の過熱感や冷え込みを判断するのに役立つ指標として広く利用されている。
同指数は現在84を記録しており、「極度の強欲」を示している。歴史的に、現在のような状態は市場のピークを示唆することが多く、今後の価格調整に備えるべき時期に差し掛かっている可能性がある。
ビットコイン市場は現在、強気と弱気の狭間で揺れ動いており、投資家には慎重な姿勢が求められる時期にあると考えられそうだ。
関連:ビットコイン、10万ドル後の急落「過去サイクル通り」=著名アナリストの見解
関連:週足上昇トレンド継続中 仮想通貨チャート分析:ビットコイン、イーサリアム、リップル、シンボル
情報ソース:Maartunn氏X
アイキャッチ画像:Shutterstockのライセンス許諾により使用