大手暗号資産取引所バイナンスは9月30日、トークン化されたポケモンカードの急成長について分析を発表した。コインゲッコーのデータによると、2025年8月にトークン化ポケモンカードの取引量は1億2,450万ドル(約183億円)に達し、これは物理的な市場を含まない数値であることから、実際の市場規模はさらに大きいとみられる。
ブロックチェーンが解決する従来市場の制約
従来のポケモンカード取引は地理的制約や流動性の問題に直面していた。希少カードの売買では適切な買い手を見つけるまでに数週間から数ヶ月かかることも珍しくなく、その間に市場価格が変動するリスクもあった。
トークン化はこれらの問題を根本的に解決する。物理的なポケモンカードをブロックチェーン上にデジタルツインとして作成し、NFTとして24時間365日、国境を越えた取引を可能にする。実物のカードは専門的な鑑定を経て安全な保管庫で保管され、トークンはいつでも実物と交換可能だ。
トークン化プロセスでは、各カードが認定された鑑定サービスによる専門的なグレーディングを受け、状態と真正性が確認される。偽造カードの問題に悩まされてきたコレクター市場において、ブロックチェーンベースの認証システムは画期的な解決策となっている。
RWA市場拡大の象徴的存在
現在、Collector Crypt(ソラナ基盤)やCourtyard.io(ポリゴン基盤)などのプラットフォームがトークン化ポケモンカードの実際の取引を主導している。バイナンスは法定通貨から暗号資産への入り口として機能し、ユーザーがこれらのプラットフォームでの取引に参加するためのゲートウェイの役割を果たしている。
バイナンスは、ポケモンカードのトークン化をより広範なRWA(Real World Assets:実物資産)トークン化トレンドの一部として位置づけている。債券、不動産、コモディティなど従来は機関投資家に限られていた資産クラスが、ブロックチェーン技術により個人投資家にも開放される動きが加速している。
同社は「ポケモンカードは遊び心のあるトークン化の顔かもしれないが、その概念ははるかに深く、世界金融を着実に再構築している」と述べ、トークン化技術の潜在的影響力を強調している。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.5円)