規制対応型のブロックチェーンインフラを提供するPaxos(パクソス)は25日、機関投資家向けのカストディとウォレット技術を提供するFordefi(フォーディファイ)を買収したと発表した。買収額は明らかにされていない。
MPCウォレット技術で機関投資家を支援
フォーディファイは2021年にニューヨークとテルアビブで設立され、マルチパーティ計算(MPC)ウォレットプラットフォームを開発している。単一の秘密鍵を複数の当事者間で分割することで、単一障害点を排除し、分散型金融(DeFi)における独自のセキュリティ、接続性、ポリシー管理の課題を解決する仕組みだ。
同社のプラットフォームは約300の機関投資家に利用されており、月間1,200億ドル(約18兆7,000億円)を超える取引量を保護している。買収後もフォーディファイは独立して製品運営を継続し、顧客は従来通りサービスを利用できる。長期的には、パクソスがフォーディファイの技術と業務を自社インフラに統合する予定だ。
ステーブルコイン発行とカストディを統合
パクソスは10年以上にわたり規制対応型インフラとカストディ業務で実績を積んできた。同社はPayPal USD(PYUSD)、Pax Dollar(USDP)、Pax Gold(PAXG)といった規制対応型デジタル資産の発行元として知られ、ペイパル、インタラクティブ・ブローカーズ、マスターカード、メルカド・リブレ、ヌーバンクなどのグローバル企業と提携している。
パクソスのCEO兼共同創業者のチャールズ・カスカリラ氏は「我々は、世界有数の企業をデジタル資産経済に導く中立的なエンタープライズグレードのプラットフォームとしてパクソスを構築してきた。市場参加者は、複雑なカストディニーズに対応できる規制対応型のプラットフォームパートナーを必要としている」とコメントした。
フォーディファイのCEOであるジョシュ・シュワルツ氏は「約300の機関投資家に信頼されるクラス最高のウォレットプラットフォームを構築してきた。パクソスへの参加により、セキュリティ、使いやすさ、イノベーションに注力しながら、より広範な顧客層に技術を提供できる」と述べた。
今回の買収により、企業は単一の信頼できるプラットフォーム上で、ステーブルコインの発行、資産のトークン化、複雑な決済フローの構築が可能になる。パクソスは5億ドル以上の資金を調達しており、欧州、米国、シンガポール、アブダビで規制当局の監督を受けている。




