パス株式会社(東証スタンダード:3840)は26日開催の取締役会で、新たな投資対象としてビットコイン(BTC)を検討するため、1,000万円の試験的購入を実施することを決議したと発表した。系統用蓄電池用地やデータセンター用地等の事業用不動産を中心とするインベストメント事業を展開する同社が、暗号資産(仮想通貨)分野への投資検討を本格化させる。
「デジタル・ゴールド」として価値確立を評価
同社は仮想通貨に対する市場環境の変化を投資検討の背景として挙げている。当初は「ボラティリティの高さや運営主体の不透明性、詐欺的プロジェクトが散見される」として懐疑的な見方が多かったものの、世界各国での法制・税制整備の進展により「デジタル通貨としての存在感を徐々に高めている」と評価。
特に2024年1月11日の米SEC(証券取引委員会)によるビットコイン現物ETF承認を重要な転換点として位置づけ、「投機的な資産としてではない価値を確立しつつあり、デジタル・ゴールドとして継続的な成長を続けている」と分析している。
9月から4か月間の検証期間設定
試験的購入は9月から12月までの4か月間で実施される。購入に際しては社内意見に加えて外部アドバイザーの見解も参考に、投資タイミングや金額を決定する方針。
購入後は常時相場状況を確認し取締役会への報告を実施。急激な価格変動が発生した場合は外部アドバイザーを交えて協議し対応方針を決定する。リスク管理として、時価が投資金額に対して30%まで下落した際のロスカットルールを設定し、損失拡大を防ぐ仕組みも導入する。
海外取引での決済利用も視野
1,000万円という投資額について同社は、現状の資金繰りを考慮した妥当な金額と説明。加えて「子会社で行っている他事業において、海外取引先との決済をビットコインで行う可能性があり、あらかじめその想定をし、取引に習熟することをも視野に入れた」と実用的な側面も考慮したと明かした。
今回の試験購入で得た知見は、今後の同社グループにおける暗号資産取り扱いに関するグループ内基準および規定の策定にも活用される予定。
四半期評価で業績への影響開示
保有する仮想通貨については四半期ごとに時価評価を実施し、評価損益を損益計算書に計上する。連結業績に影響が生じる場合には速やかに開示するとしている。
また、インベストメント事業においてビットコイン投資を本格実施する場合、または撤退を決定した場合には適時適切に開示を行うとしており、今回の試験購入結果が今後の本格参入の判断材料となる見込み。
不動産投資を主力とする同社の暗号資産分野への参入検討は、投資ポートフォリオの多様化と新たな収益機会創出を狙った戦略的取り組みとして注目される。
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