RWA(現実世界資産)トークン化プラットフォーム「Ondo Finance(オンド・ファイナンス)」は3日、非米国投資家を対象にした新サービス「Ondo Global Markets(オンド・グローバル・マーケッツ)」の提供を開始した。同サービスは、米国株やETFなどをトークン化し、24時間365日、即時に売買可能とするもので、ウォール街の仕組みをブロックチェーン上に持ち込む「ウォール・ストリート2.0」の実現を目指す。
100銘柄超から始動、年内に1,000銘柄以上へ拡大
非米国投資家は、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場する100以上の株式やETFをトークン化した形で購入・売却できる。年内には1,000銘柄超まで拡大する計画で、過去最大規模のトークン化株式ローンチと位置づけられている。
利用はイーサリアムから始まり、今後はBNBチェーンやSolana(ソラナ)にも拡大予定だ。さらに「Trust Wallet(トラスト・ウォレット)」、「Bitget(ビットゲット)」、「BitGo(ビットゴー)」など多数の主要ウォレットや取引所、カストディ企業が対応している。
オンドのトークン化株式は、米国登録ブローカーディーラーを通じて取得され、規制対象のカストディアンに保管される。投資家は、その裏付けとなる株式やETFに完全連動したトークンを即時に受け取る仕組みだ。株価や配当は反映され、配当は差し引かれる税額を除き自動的に再投資される。トークンは市場時間中にステーブルコインとの間で発行・償還可能で、発行後は24時間いつでも送金やDeFi(分散型金融)への活用が可能となる。
オンド・グローバル・マーケッツの特徴は、従来市場の流動性と透明性をブロックチェーン技術と組み合わせる点にある。基盤市場の流動性を継承することでスリッページを抑え、即時発行や償還により価格の安定性を維持する。さらに、DeFi上で担保利用やレンディングなどに活用できる拡張性も備える。投資家保護の観点では、第三者による日次検証や破産隔離構造、担保権設定を通じた安全性を確保している。
オンドはこれまでも、OUSGやUSDYといったRWAを活用した商品を展開してきた。今回の公開は株式市場そのものをブロックチェーンに接続する試みであり、従来の金融市場における高コストや断片化、アクセス制限といった課題を解決する狙いがある。
年内には銘柄数をさらに拡大するほか、独自のレイヤー1「Ondo Chain(オンド・チェーン)」を立ち上げる予定だ。同チェーン上では、証券担保の借入やステーキング、オンチェーン資産運用など幅広い機能が提供される見込みである。
今回のローンチは、トークン化証券が実験段階を超え、本格的に市場導入される節目といえる。流動性確保と投資家保護を前提とした設計は、従来型金融機関と暗号資産(仮想通貨)の橋渡しに不可欠だ。規制環境や市場参加者の理解が進めば、オンド・グローバル・マーケッツは伝統金融と仮想通貨の垣根を越える新たな投資インフラとして定着する可能性があるだろう。
関連:Ondo Finance、Pantera Capital支援でRWA領域に362億円規模の投資計画を発表
関連:Ondo Finance、マスターカードと提携|RWA活用で企業の資金管理を効率化