不動産総合サービス「GATES」と提携、グローバル投資を視野に
ブロックチェーンゲーム開発の「Oasys(オアシス)」は11日、不動産総合サービスプロバイダの「GATES(ゲーツ)」との戦略的事業提携を発表した。
この提携は、ゲームやエンターテインメントの世界を主戦場としてきたオアシスが、現実世界の資産、いわゆる「RWA(Real World Asset)」領域へ本格的に乗り出すことを意味する。その第一弾として、両社は日本の不動産をブロックチェーン上で取引可能な「トークン」へと姿を変え、世界中の投資家に向けて提供していくという。
なぜ今不動産なのか?これまでオアシスは、「セガ」、「スクウェア・エニックス」、「バンダイナムコ研究所」といった名立たるゲームメーカーを巻き込み、独自の経済圏を築いてきた。いまや、その技術が狙うのはゲーム領域にとどまらない。アニメや漫画といった日本の知的財産(IP)のみならず、物理的な価値を持つ不動産こそ、世界的な価値を持つ「日本資産」だと彼らは考えたのだ。いわば、ゲームで培った技術を引っ提げ、現実世界への逆進出を試みる壮大な実験のはじまりである。
この計画のスケールはケタ外れだ。まず、ターゲットとする日本の不動産市場は、総額約3,000兆円と推定されている。両社は、その1%にあたる約30兆円相当のトークン化を視野に入れる。途方もない数字に見えるが、すでに布石は打たれている。都心部の収益不動産を中心に、110億円相当の資産についてはトークン化の準備が完了しており、いつでも市場に投入できる状態にあるという。そして、ロードマップの第一フェーズでは5兆円規模の流動化を目指す。
このきわめて野心的なプロジェクトにおいて、ゲーツの存在は欠かせない。2012年創業の同社は、独自の不動産データベースを駆使し、物件の仕入れから販売までを一気通貫で手掛けることで急成長。2024年には年商220億円を達成し、米NASDAQ(ナスダック)市場への上場準備も進めている。まさに不動産を知り尽くしたプロフェッショナル集団だ。オアシスのブロックチェーン技術という「器」に、ゲーツが供給する優良な不動産という「中身」を注ぎ込む。これにより、国境を越えたシームレスな不動産投資が現実味を帯びてくる。
オアシスの松原亮代表は「日本資産をRWAとして提供することは、日本にルーツを持つ我々の強みを活かせる分野だ」と語る。対するゲーツの代表取締役CEOである関野雄志氏も「世界中の投資家が日本資産へ容易にアクセスできる次世代の投資インフラを構築する」と意気込む。
本件は、日本の不動産市場にとどまらない。将来的には米国やアジア、欧州の不動産へと対象を広げ、さらにはゲームやアニメといった無形資産も組み合わせた、重層的なポートフォリオの形成を目指すという。ブロックチェーンという現代の錬金術は、日本の不動産、ひいては世界の資産のあり方を根底から変えてしまう可能性を秘めている。
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