メキシコの不動産大手「Murano」、ビットコイン財務戦略に本格参入

木本 隆義
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

メキシコの不動産大手「Murano(ムラーノ)」は4日、ビットコイン戦略の強化に向け、古参ビットコイン投資家のエリック・S・ワイス氏を取締役に迎えたと発表した。

仮想通貨投資家ワイス氏を戦略委員長に起用

ワイス氏は、今回の人事を機に新設された「ビットコイン戦略イニシアチブ委員会」の委員長も兼任する。ワイス氏は、機関投資家向けの暗号資産(仮想通貨)投資会社を率い、2013年には早々にビットコインへ投資していた業界の名士だ。まさに、仮想通貨の世界を知り尽くした「プロ中のプロ」を経営の中核に加える構えである。

この抜擢に対し、当のワイス氏は「ムラーノはビットコインを実験としてではなく、価値創造の推進力として扱っている」と評価。さらに「ビットコインという真のデジタル不動産の上に、現実の不動産会社を築くというビジョンは、大胆で革新的、そして何よりリアルだ」と語り、その成長に貢献できることへの期待を表明した。彼に与えられたミッションは明確だ。ムラーノのビットコイン財務戦略と蓄積計画を主導し、資本構成の最適化や仮想通貨と連携した新たな資金調達について助言すること。会社の将来を左右する重責である。

ムラーノのビットコインへの傾倒は、今に始まった話ではない。同社は最近、手始めに21 BTCを取得。さらに7月1日には、将来的なビットコイン購入を支えるため、5億ドル規模のスタンバイ株式購入契約(SEPA)をすでに締結済みだ。これは、いつでも市場からビットコインを買い増せるだけの「実弾を確保」したことを意味する。

その戦略は財務面に留まらない。ホテルの宿泊代金のビットコイン決済や、独自のポイントプログラムへの導入、さらにはビットコインをテーマにした宿泊体験やイベントの企画など、事業の隅々にまで仮想通貨を統合させようとしている。

ムラーノの会長兼CEOであるエリアス・サカル氏は、「ワイス氏の機関投資家としての経歴とビットコインにおける経験は、我々の取締役会にとって貴重な財産だ」と歓迎の意を表明。「不動産とホテル事業をビットコイン基準で再定義するという我々のビジョンを、彼は共有してくれている」と、その期待は大きい。

不動産という「リアル」な資産を扱ってきた企業が、なぜ「デジタル」な仮想通貨にここまで深くコミットするのか。その挑戦は、伝統的な不動産業界の常識を覆す可能性を秘めている。ムラーノが描く壮大なビジョンが、単なる空論で終わるのか、それとも業界の新たなスタンダードとして実を結ぶのか? 今後の成り行きに注目したい。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。仮想通貨歴は10年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。
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