ブロックチェーンプロジェクト「Movement(ムーブメント)」は16日、現在のサイドチェーン構造から、独立したレイヤー1(L1)ブロックチェーンへと進化すると発表した。
500TPSの壁を超え1万TPSへ、パフォーマンス大幅向上
ムーブメントを開発する「Move Industries(ムーブ・インダストリーズ)」は、今回のL1への転換理由について、「処理能力の制限」を大きな理由として挙げている。現在の毎秒500〜600トランザクション(TPS)という処理能力の限界を打破し、L1となることで「10,000TPS以上、かつ1秒未満のファイナリティ」という飛躍的なパフォーマンス向上を目指すとした。
また、これまでの中央集権型の仕組みに起因する単一障害点を排除し、ネットワークの安定性と堅牢性を高めることも大きな目的であると説明している。
「Move 2.0」の導入とネイティブステーキング
今回のアップグレードの目玉の一つが、スマートコントラクト言語「Move」の次世代バージョン「Move 2.0」のサポートである。Move 2.0では、開発者はより表現力豊かで高機能なアプリケーションを構築できるようになる。
また、L1化に伴い、ユーザーはネイティブトークンであるMOVEをデリゲートすることで、ネットワークのセキュリティ保護に参加し、ステーキング報酬を得ることが可能になる。
特筆すべきは、「ロックアップされたトークンは誰もステーキングできない」というルールが設けられている点だ。これにより、初期投資家やコア貢献者がロック期間中のトークンでステーキングに参加することを防ぎ、「コミュニティによる真のネットワーク所有を促進する」としている。
運営は、この移行プロセスがユーザーに影響を与えない「シームレスなものになる」と強調している。既存の資金、スマートコントラクト、ネットワーク上の活動はすべて維持され、移行後も変更はないという。
今後の予定として、開発者向けのL1テストネットが間もなく公開され、メインネットへの移行は2025年末までに計画されている。
このL1化により、ムーブメントは「RWA(現実資産のトークン化)やモバイルファーストなユースケースへの対応」に注力していく方針だ。大きな方針転換を決めたムーブメントの今後に注目だ。
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