米カリフォルニア州サンディエゴに本拠を置く製薬会社「MEI Pharma(MEIファーマ)」は5日、同社がライトコイン(LTC)を合計929,548枚取得したと発表した。
ライトコインを準備資産に採用した初の米上場企業に
取得期間は2025年7月30日から8月4日にかけてで、平均取得価格は1枚あたり107.58ドル。この買収資金は、7月17日に締結された私募増資(PIPE)によって調達した資金の手取金の全額であり、当初の計画通りに実行された。これにより、MEIファーマは、ライトコインを主要な準備資産として採用する米国初の上場企業となった。
MEIファーマはなぜビットコインではなく、他ならぬライトコインを選んだのか? 実は、同社の取締役にライトコイン創設者チャーリー・リー氏がいる、というのが、わかりやすい種明かしだ。リー氏は「ライトコインは長年にわたり、健全でスケーラブル、かつ分散化された通貨を体現してきた」と述べており、手前味噌ではあるものの、その信頼性を高く評価している。
具体的には、ライトコインが持つ13年以上にわたる無停止稼働という「驚異的な信頼性」、「低い手数料」「迅速な決済能力」が、企業の財務資産として理想的だとする理由だ。さらに、「PayPal(ペイパル)」や「Robinhood(ロビンフッド)」といった主要な金融プラットフォームですでに広く採用されている点も、内外への説得力を高めている。この戦略の策定と実行にあたっては、暗号資産(仮想通貨)投資の大手である「GSR」社がアドバイザーとして参画し、堅牢なガバナンス体制を構築している。
同社の大胆なピボットは、単なる資産運用に留まらない。MEIファーマは今後数週間のうちに、企業のアイデンティティを正式に更新するとしており、社名変更を含むブランド戦略の刷新が検討されているとみられる。そればかりか、ライトコインのマイニング(採掘)事業への参入も視野に入れていることを示唆しており、製薬事業と並行して、デジタル資産インフラを基盤とした新たなビジネスモデルを本気で構築しようとしていることがうかがえる。もちろん、同社は既存の医薬品開発も継続するとしており、研究開発活動も並行して進める体制だ。
伝統的な製薬会社による、前例のない財務戦略への挑戦。この動きが、他の上場企業や競合にどのような影響を与え、各社のポートフォリオにどのような変化をもたらすのか? 今後の動向を注視したい。
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