30億人超のカード保有者が仮想通貨を直接購入できるように
分散型オラクルネットワークの「Chainlink(チェーンリンク)」は24日、クレジットカードブランド大手の「Mastercard(マスターカード)」と新たに提携し、30億人を超えるマスターカードブランドのカード保有者が暗号資産(仮想通貨)を直接オンチェーンで購入できるサービスを発表した。
この新たな取り組みは、チェーンリンクのインターオペラビリティ(相互運用性)技術と、マスターカードのグローバル決済ネットワークを活用したものである。従来、仮想通貨の世界に参入するためには複雑な手続きや複数のアプリケーションを経由する必要があったが、今回の連携により、その障壁が大幅に取り除かれる見込みだ。
実際の法定通貨から仮想通貨への変換処理は、金融インフラプロバイダーである「zerohash(ゼロハッシュ)」が担う。同社は仮想通貨の取引、カストディ、コンプライアンス対応などのインフラを提供し、スマートコントラクトに基づいた取引を実現する。
また、決済処理を担う「Shift4 Payments(シフトフォーペイメンツ)」に加え、「Swapper Finance(スワッパーファイナンス)」や「XSwap(エックススワップ)」といった分散型金融(DeFi)プロジェクトが、このサービスのアプリケーション体験を支えている。
スワッパーファイナンスは、チェーンリンク上に構築された分散型取引所(DEX)「エックススワップ」を活用し、ユーザーが法定通貨から仮想通貨へスムーズに変換できるよう設計されている。エックススワップは「Uniswap(ユニスワップ)」などのDEXを通じて市場から必要な流動性を確保し、最終的なスワップはオンチェーンで実行される設計となっている。
ゼロハッシュのCEO兼共同創業者であるエドワード・ウッドフォード氏は、「私たちのインフラは、規制に準拠した形で仮想通貨の交換を可能にするものであり、スマートコントラクトの複雑な仕組みをユーザーに意識させることなく、スムーズで遅延の少ないオンチェーン取引を可能にする」と述べている。
仮想通貨の普及に向けた最大の課題の一つは、法定通貨からのシームレスなアクセスと、信頼できる決済手段の確保である。この点で、チェーンリンクとマスターカードの連携は、規制順守・技術的信頼性・ユーザビリティを兼ね備えた好例といえる。分散型金融と従来の金融サービスの融合が加速するなか、今後のサービス展開と利用者動向が注目される。
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