日本企業が共同運営するパブリックブロックチェーン「Japan Open Chain(ジャパン・オープン・チェーン)」のコンソーシアムを運営するG.U.Group株式会社は17日、DAO(分散型自律組織)によって運営される新型ステーブルコイン「USDA」「JPYA」「EURA」を近日中にイーサリアムおよびジャパン・オープン・チェーンを含む10以上のブロックチェーンで発行・流通開始すると発表した。
コミュニティ主導のDeFi型ステーブルコインが誕生
今回発表されたステーブルコインは、中央管理者に依存しないコミュニティ主導によるDeFi型のステーブルコインとして設計されている。担保資産はオンチェーンで管理され、既存のUSDC/USDTなどの安定したステーブルコインを利用して、誰でもmint/burn(発行/償却)が可能な仕組みを採用している。
G.U.Groupによると、従来のアルゴリズム型ステーブルコインであるDAI等は暗号資産を担保として発行され、価格変動の影響を受ける可能性があったが、新型ステーブルコインは既存の法定通貨連動型ステーブルコインを直接的な裏付け資産として保有・管理することで、より安定的な価値維持を実現するという。
10以上のチェーンでクロスチェーン送金に対応
新ステーブルコインには、レイヤーゼロプロトコルを活用したクロスチェーン機能が搭載されており、イーサリアム、ジャパン・オープン・チェーン、ベース、アバランチ、アービトラム、ポリゴン、BNBチェーン、オプティミズムなど10以上のチェーン間での直接送金が可能となる。
特にジャパン・オープン・チェーン上では、これらのステーブルコインが初のネイティブステーブルコインとなり、株式会社電通、ピクシブ株式会社、テレビ朝日グループなど日本の主要企業14社がバリデータとして参画する同チェーンのエコシステム基軸通貨として機能する予定だ。
各通貨の特徴と将来ロードマップ
発表された3つのステーブルコインは以下の特徴を持つ:
- USDA:米ドル建てステーブルコイン
- JPYA:円建てステーブルコイン
- EURA:ユーロ建てステーブルコイン
同社は世界で主要なステーブルコイン名称であるUSDTやUSDCに近く、アルファベットの先頭である「A」を使用した覚えやすい名称を採用したと説明している。
将来的な展開として、JPYAは日本で第3号電子決済手段としての発行を目指し、USDAは日本の信託型または米国ジーニアス法型として法令準拠型に移行、EURAは欧州のMiCA(暗号資産市場規制)承認を取得してMiCA準拠型への進化を計画している。
ステーブルコイン市場の急成長背景
2025年に入り、ステーブルコイン市場は急成長を続けており、発行量は45兆円を超え、今後数年で数百兆円規模に達すると予測されている。しかし既存の主要ステーブルコインには発行体の不透明性や法的裏付けの欠如、特定国の政治判断による凍結リスクなどの課題が指摘されている。
特に日本市場では円建てステーブルコインがほとんど流通しておらず、国内web3事業者の大きな障壁となっていた現状がある。各国でのUSDA、JPYA、EURAの商標獲得の目処が立ったことから、今回の発表に至ったという。
G.U.Groupは今後も法制度と技術革新を両輪として、次世代デジタル金融インフラの構築を支援していくとしている。
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