ビットコイン上昇の裏に新規買い手の急増あり
オンチェーン分析企業「Glassnode(グラスノード)」は26日、暗号資産(仮想通貨)市場における投資判断の精度を高めるためには、「どのタイプの投資家が現在市場で動いているか」を把握することが重要だと公式Xで強調した。同社は新たな可視化ツール「Supply by Investor Behavior(投資家行動別供給量)」を活用し、ビットコイン(BTC)の投資家行動と価格変動の関係性について言及している。
グラスノードによると、市場の重要な転換点で顕著な動きを見せるのが「確信的な買い手(Conviction Buyers)」だという。彼らは市場が弱気に傾いた場面では積極的な買いを入れて価格を支え、強気相場でも一時的な下落局面で買い支えることで反落を防ぐ役割を果たすと指摘。これは彼らが長期的な視点を持つ投資家であり、平均取得単価を下げようとする合理的な動機に基づいて行動しているためだと考えられる。
しかし、グラスノードは確信的な買い手のみでは、持続的な上昇トレンドを生み出すには限界があると指摘する。市場に新たな資本が流入しない限り、価格の継続的な上昇は難しい。この局面で重要となるのが「新規の買い手(First Buyers)」の存在だという。彼らは過去にビットコインの取引履歴がない、いわば市場へ初めて参入する投資家であり、新たな資金の供給源として注目されている。
グラスノードはこの新規買い手の動向を可視化したデータを公式X上で共有。2024年7月から12月、そして2025年3月から5月の間に新規買い手の数が急増しており、ビットコインの価格上昇と一致していると指摘した。

実際、新規の買い手は2021年3月頃から増加傾向にあり、2025年1月をピークに一時的な減少を見せている。これまでのビットコイン価格推移と照らし合わせると、新規の買い手による資金流入がビットコイン市場に構造的な強さをもたらしている可能性は高いと言えるだろう。
ただし、確信的な買い手や新規の買い手だけでビットコイン市場が構成されているわけではない。損失を確定させるために売却する投資家や、一定の利益を得た段階でポジションを手放す動きも市場では活発に見られる。ファンダメンタルズやテクニカルなどさまざまな要因が価格のトリガーとなるが、本質的に価格を動かしているのはこれらの要因に基づく投資家の行動と言えるだろう。
現在のビットコインの強気な価格推移も、さまざまなタイプの投資家の動向が交錯する中で形成されている。グラスノードが指摘する確信的・新規双方の買い手がさらに増加し、今後の市場を支える基盤となっていくのか、ビットコイン価格の推移と共に見守っていきたい。
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