米住宅金融最大手ファニーメイが、暗号資産(仮想通貨)を担保とする住宅ローンを初めて受け入れる。住宅ローン企業ベター・ホーム&ファイナンスと米暗号資産取引所コインベースが26日、共同で新たな住宅ローン商品を発表した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)およびコインベース公式ブログが報じている。
BTC・USDCを担保に頭金ローン、売却せず住宅取得が可能に
仕組みの核心は「2本のローン」にある。住宅購入者はベターを通じてファニーメイが保証する通常の15年または30年の住宅ローンを組む。現金で頭金を支払う代わりに、コインベース口座のBTC
BTCまたはUSDC
USDCを担保として別途の頭金ローンを利用する。担保資産はベターのコインベース・プライム口座でカストディされ、返済完了後に返却される。
コインベース公式ブログによると、BTC担保の場合は頭金ローン額の250%以上、USDC担保の場合は125%以上の担保が必要だ。例えば50万ドルの住宅を購入する場合、25万ドル相当のBTCを担保に10万ドルの頭金ローンを組める。
市場初となる特徴もある。2本のローンが同一金利・同一返済期間に設定され、月々の支払いは1本にまとめられる設計だ。金利は標準的な30年ローンより0.5〜1.5ポイント高い水準となる。BTC価格が変動してもローン条件は一切変わらず、マージンコールや追加担保の要求もない。清算リスクが発生するのは60日間の返済延滞時のみで、通常の住宅ローンと同様の構造である。
初回住宅購入者の中央年齢が過去最高の40歳に
この商品が生まれた背景には、住宅取得の困難さがある。コインベースによると、米国の初回住宅購入者の中央年齢は2025年に過去最高の40歳に達した。高金利、記録的な住宅価格、限られた在庫が原因だ。一般世帯でも収入の36%が住宅ローン返済に充てられ、低所得世帯ではその比率が71%にまで跳ね上がる。
一方で暗号資産を通じて資産を築いた層は拡大している。WSJが引用するギャラップの調査では、2025年時点で米国成人の約14%が暗号資産を保有。不動産仲介大手レッドフィンの調査では、ミレニアル世代・Z世代の住宅購入者の約13%が頭金のために暗号資産を売却していた。キャピタルゲイン課税を回避しつつ住宅を取得したいというニーズは大きい。
トランプ政権のFHFA指示が布石
政策面の後押しもある。2025年6月、FHFA(連邦住宅金融庁)のビル・プルテ長官がファニーメイとフレディマックに対し、住宅ローン申請時に暗号資産を資産として算入する準備を進めるよう指示していた。トランプ政権の暗号資産業界への支援姿勢が背景にある。
コインベースワン会員向けの特典も用意された。ベターでローンが承認された場合、ローン価値の1%(上限1万ドル)がクロージングコストのクレジットとして適用される。USDC担保の場合は担保資産がリワードを稼ぎ続け、月々の返済コスト軽減に充当できる点もユニークだ。将来的にはトークン化株式や債券など、担保対象資産の拡大も計画されている。
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