ブロックチェーンの分析・検索サービス「Etherscan(イーサスキャン)」は4日、レイヤー1ブロックチェーンネットワーク「Sei(セイ)」向けの専用ブロックエクスプローラ「Seiscan(セイスキャン)」を公開した。
定番エクスプローラが最速EVMに参入、開発基盤を強化
セイスキャンは、取引履歴やアドレス、スマートコントラクト、トークン情報の横断検索に加え、既存のAPI群をSei上でも利用できるよう設計されている。
セイスキャンの開発元イーサスキャンは、Ethereum(イーサリアム)およびEVM系ネットワークの分析・検索基盤であり、ブロックチェーンの検索窓を主体とする。一方のセイは、EVM互換の実行環境を備え、高スループットと短い最終確定時間を売りにするレイヤー1だ。今回の公開により、両者の長所が同じ画面・APIで統合される。
セイスキャンの提供機能であるが、保有者分布やコントラクト検証、オンチェーンデータの可視化など、イーサスキャンでおなじみの分析機能がそのまま動く。したがって、開発者は移植なしで監視・検証の手続きを組み立てられ、ユーザーは取引と手数料の状況を直感的に追える。さらに、堅牢なAPI群がバックエンドを支える点も従来通りである。
セイはここ数カ月、ウォレットやステーブルコイン基盤の整備を進め、EVM圏の「いつもの運用」を持ち込める地ならしを急いできた。今回のセイスキャン追加は、その延長で「使う前提の道具」をそろえる動きだ。結果として、資産発行から取引、状態検証までの流れが、外部調整を減らして進めやすくなる可能性がある。
開発者サイドの利点は小さくない。まず、EVM経験者は画面やAPIの互換性をそのまま活かせる。次に、監査・運用のルーティンが共通化されるため、初期の設定ミスや観測漏れを抑えやすくなることが期待される。さらに、エコシステム全体ではデータの参照点が一本化され、ドキュメントやナレッジの再利用効率が高まると見込まれる。
ただし、導入直後はデータ量や新規コントラクトの検証待ちなど、運用の立ち上げ特有の“ならし”は避けられないだろう。とはいえ、イーサスキャン側は他ネットワークでの運用実績を重ねており、最適化のノウハウは蓄積済みだ。短期の不整合はあり得ても、中期的には標準ツールとして定着する可能性がある。
総じて、セイスキャンの公開は、セイにおける開発・利用の心理的コストを下げる「地味だが効く」基盤強化といえるだろう。今後のアプリ拡充とあわせて、どこまで日常運用に溶け込むか注目だ。本件はひとまず、足回りの充実という点で素直に評価できるだろう。
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