日本時間19日、米報道番組における米大統領ドナルド・トランプ氏の発言が「米中摩擦緩和」と受け止められ仮想通貨市場は反発。ビットコインの価格が週足レベルで重要なサポートラインを上回ったことで、市場心理はやや回復した。とはいえ、今後も市場を左右する大きなイベントを複数控えており、まだまだ油断できない状況だ。
ビットコイン、週足レベルでサポートライン防衛に成功

ビットコインは先週末、一時10万7,000ドルの重要なサポートラインを大きく下回ったが、10万4,000ドル付近から反転。週足の実体レベルでサポート防衛に成功し、投資家心理がやや改善した。

現在は直近高値を超え、重要な節目と意識されている11万ドル台前半を推移しており、この価格帯を日足レベルで維持できればさらなる上昇も期待できる。

清算ヒートマップからも、先週指摘した10万4,000ドル付近のサポートが強く意識されていたのがわかる。その後、10万8,000ドル付近から断続的に続いていたショートポジションの流動性を燃料に、11万ドル台まで堅調に推移。今後は大きな流動性クラスターが形成されている11万4,000ドル付近の抵抗が意識されそうだ。次の抵抗を明確に突破できれば、市場心理は強気に傾き始める可能性が高い。
とはいえ、大局的に見れば依然として弱気相場に変わりなく、戻り売りには注意。ロングエントリーを検討する際は、それなりのリスクを負う覚悟が求められる。
主要アルトも回復基調もBTCドミナンス上昇で資金流入は限定的

主要アルトコインも概ね直近安値から10%程度の上昇と比較的堅調。特にイーサリアムは約半月にわたり、上値を抑えていた下降トレンドラインをブレイクしたことが、投資家心理の回復につながっている。

ただ、ビットコインドミナンスは緩やかながら上昇傾向を継続しており、投資家のアルトコインに対する慎重な姿勢がうかがえる。アルトコインは特にマクロ経済の影響を受けやすいため、米中摩擦や米銀行の信用問題などが重しになっていると分析される。再びアルト市場が活気を取り戻すには、マクロ環境の改善が必須となりそうだ。
市場は米中首脳会談を好感も高市首相誕生でドル高=BTC下落リスクも
米大統領ドナルド・トランプ氏は日本時間19日朝にフォックス・ニュースより配信されたインタビュー動画の中で、10月31日に中国国家主席習近平氏との会談を行う意向を表明。またインタビューの中でトランプ氏は、習近平主席への賛辞の言葉を口にしつつ「公平な取引が実現するでしょう」と明言。これを受け市場はややリスク・オンに傾いた。
ただ、依然として米銀行信用不安やウクライナ・ロシア情勢など不安材料は山積みなため、どのタイミングで市場の空気が暗転するか予測不能な状況。さらに21日の首相指名選挙で高市早苗氏の首相就任が確定した場合、「高市トレード」の影響で円安が拡大=仮想通貨市場からの資金流出が懸念される。
また24日には、延期されていた米消費者物価指数(CPI)が発表される予定。今後の政策金利動向を占う上で非常に重要な指標だけに、発表前後のボラティリティ拡大には注意が必要だ。
米中摩擦の緩和は市場にとって大きな好材料だが、現時点で強気相場再開と断定するのは時期尚早。確実にトレンド転換するには、マクロ経済不安・地政学リスクの解消が必須になるだろう。もしくはCPIの結果が米インフレの後退を示すものであれば、追加利下げ期待により相場環境が好転する可能性もある。
関連:ビットコイン、108,400ドルのサポート維持が焦点──アナリストは中期上昇を予測
関連:BTC10万7,000ドル割れで投資家心理悪化も、オンチェーンデータは弱気相場ピーク示唆──米銀行信用問題が重し
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.42円)