仮想通貨の秘密鍵、AIで最悪数カ月で割り出される可能性──研究者が指摘

仮想通貨の秘密鍵、AIで最悪数カ月で割り出される可能性──研究者が指摘
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
水澤 誉往
3 Min Read
Highlights
  • 7日、研究者のジャスティン・ドレイク氏が「バンカーモード」を提唱。資産を新しいアドレスへ計画的に移すよう呼びかけ
  • ブテリン氏は8日、今日慌てて移す必要はないとしつつ、AIによる数学の進歩が暗号にもたらすリスクは真剣に受け止めるべきと投稿
  • Project Elevenは4月27日付のブログで、公開鍵が露出したアドレスにあるBTCを約690万BTCとしている

イーサリアム(ETHETH)の研究者として知られるジャスティン・ドレイク氏は7日、AIによる数学の急速な進歩で暗号資産(仮想通貨)の署名方式が破られる事態に備え、資産を一度も署名に使っていない新しいアドレスへ計画的に移す「バンカーモード」を、業界に呼びかけた。イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏も8日に投稿し、今日慌てて資金を移す必要はないとしつつ、リスクを真剣に受け止めるべきだとした。

ドレイク氏が提唱するバンカーモード、ECDSAが数カ月で破られる可能性に備え

ドレイク氏は、量子コンピューターが暗号を破る日(Qデー)より前に、多くの暗号資産が使う署名方式ECDSAが破られる可能性に備えるのが妥当になったとの見方を示した。最悪の場合は「数年ではなく数カ月」だとしている。

同氏の言う「破られる」とは、大規模なGPUクラスターなど入手可能な機器で、秘密鍵を例えば1週間で割り出せる状態を指す。根拠として、長年疑われてこなかった数学の予想が最近相次いで覆されたことや、OpenAIが前日に公開した数学の成果を挙げた。

OpenAIは米国時間6日、公開していない社内モデルが生み出した数学の論文722本を、GitHubで公開していた。

ドレイク氏の勧める対策は、公開鍵がハッシュで隠れたままの、一度も署名していないアドレスに資金の大半を移すことだ。署名して送金した場合は、残りの資金も新しいアドレスに移す。新しい暗号技術や新しいウォレットは必要ないとしている。

同氏は、大口で知識のある保有者から先に動くよう求め、コールドストレージを強化する機会がある事業者として、バイナンス、ビットバンク、ロビンフッド、ビットフィネックス、テザーの名前を挙げた。一方で、急いで移すとかえって害が大きいとして、慌てないよう繰り返し呼びかけている。

同氏は、取引などで公開鍵が露出したビットコイン(BTCBTC)を追跡するツールとして、Project Elevenの「Bitcoin Risq List」を挙げた。Project Elevenは4月27日付のブログで、執筆時点で公開鍵が露出したアドレスにあるBTCを約690万BTCとしている。

ビットコインでは2月、公開鍵の長期的な露出を避ける新しい出力形式「P2MR」を提案するBIP 360の最新版が公開されている。

ドレイク氏とブテリン氏の見解の違い、ブテリン氏は格子暗号のリスクも指摘

ブテリン氏は、AIによる数学の進歩を暗号のリスクとして真剣に受け止めるべきだという点ではドレイク氏と一致する。ただ、資金の移し方については、より慎重な立場を示した。

項目ドレイク氏(7日)ブテリン氏(8日)
資金の移し替え大口から計画的な大規模移行を始めるよう推奨今日慌てて移すことは勧めない。手間がかからなければ、未使用のアドレスに置くのは良い考え
リスクの見立て最悪の場合、ECDSAは数カ月で破られる可能性今後2年のAIの数学で、格子暗号の安全性も大きく損なわれる可能性
長期の対策ハッシュに基づく暗号に全面的に移る考えハッシュに基づく暗号が使える場面では、格子より優先
注意点急いだ移行は害が大きい移行の失敗に注意。マルチシグの承認はオフチェーンで
両氏の10月7日と8日の投稿をもとにJinaCoinが作成

ブテリン氏が詳しく論じたのは、量子コンピューターに強いとされる格子暗号のリスクだ。これまでは「楕円曲線は破られても、ハッシュと格子は安全」と考える人が多かったが、格子についてもAIによって弱点が見つかる可能性が十分あるとした。

同氏によると、イーサリアムの「リーン・イーサリアム」のロードマップは、この1年、格子を使わずハッシュだけに基づく方向で進めてきた。リーン・イーサリアムの署名は、すべてハッシュに基づく方式だという。

一方で、ハッシュだけでは実現できない公開鍵暗号は、ブロックチェーンに限らず、安全な通信やVPNなどにも使われている。同氏は、格子を使う場合は鍵の大きさなどを大幅に慎重に設定すべきだとしている。

資金の移し替えについて、同氏は「私自身、移行の失敗で失った金額は、ハッキングで失った金額をすべて合わせたよりも多い」と述べ、注意を促した。

関連:ビットコイン、2030年量子コンピューター脅威で存続危機──ソラナ創設者が早期対策求める

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
Follow:
株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA