Quantus(クオンタス、QTC)
QTC は、量子コンピューターでも破られにくい署名方式を最初から採用した、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)型のレイヤー1ブロックチェーンです。9月9日にメインネットを公開し、10月7日には中央集権型取引所(CEX)を通さず、NEAR Intentsを使うnear.comで取引が始まりました。この記事では、Quantusの特徴とトークノミクス、near.comでQTCを買う手順を、編集部が実際に購入した画面とともに解説します。
Quantus(クオンタス、QTC)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | Quantus(クオンタス) |
| ティッカー | QTC |
| 種類 | レイヤー1(独自チェーン) |
| コンセンサス | プルーフ・オブ・ワーク(ハッシュ関数はPoseidon2) |
| 署名方式 | ML-DSA(米国立標準技術研究所(NIST)が2024年に標準化した耐量子署名) |
| 発行上限 | 2,100万QTC |
| ブロック生成間隔 | 目標12秒 |
| メインネット公開 | 2026年9月9日 |
| 開発会社 | Quantus Labs LLC(米ワイオミング州) |
| スマートコントラクト | 非対応 |
| 購入できる場所 | near.com(NEAR Intents経由) |
| 公式サイト | https://www.quantus.com/ |
| 公式X | https://x.com/QuantusNetwork |
Quantus(クオンタス)は、ビットコインと同じく発行上限2,100万枚、PoWで新規発行される「お金」に特化したブロックチェーンです。ホワイトペーパーでは、イーサリアムやソラナのような汎用のスマートコントラクト基盤ではなく、ビットコインやモネロ、ジーキャッシュに近い存在だと説明しています。
最大の特徴は、すべての取引の署名に耐量子暗号を使う点です。ビットコインやイーサリアムが使う楕円曲線暗号(ECDSA)は、十分な性能の量子コンピューターが実現すると、公開鍵から秘密鍵を割り出されるおそれがあると指摘されています。
既存のチェーンが耐量子暗号へ移るには、保有者全員が新しいアドレスへ資産を移す必要があります。Quantusは最初から耐量子のアドレスしか用意しないことで、この移行の問題を避ける設計です。
基盤には、ポルカドットの開発元パリティ・テクノロジーズが手がけるブロックチェーン開発キット「Substrate」を使っています。
量子コンピューターに強い署名方式「ML-DSA」
QuantusはNISTの標準FIPS 204で定められた署名方式ML-DSAを採用し、ウォレットの初期設定ではML-DSA-65、より高い安全性を求める利用者向けにML-DSA-87も使えます。ノード同士の通信の暗号化にも、同じくNIST標準のML-KEMを使っています。
一方で、耐量子署名には、鍵と署名のデータが大きくなるという欠点があります。
| 署名方式 | 公開鍵 | 署名 |
|---|---|---|
| ML-DSA-87 | 2,592バイト | 4,627バイト |
| ML-DSA-65 | 1,952バイト | 3,309バイト |
| ECDSA(256ビット) | 32バイト | 65バイト |
署名が70倍以上大きくなると、1ブロックに入る取引の数が減ります。Quantusはゼロ知識証明(ZK証明)で多数の取引をまとめて検証する「ワームホール・アドレス」という仕組みで、この問題に対応しています。
ワームホール・アドレスは、送り手と受け手のつながりをチェーン上で見えなくする「暗号化取引」も兼ねています。ウォレットでは、通常の「透明な送金」と「暗号化された送金」を選べます。
Quantus(QTC)のトークノミクス
QTCの発行上限は2,100万枚です。ブロック報酬は「(上限-現在の供給量)÷5,000万」で計算され、ビットコインの半減期のような段階的な減り方ではなく、なめらかに減っていきます。
ただし、全量がマイニングで発行されるわけではありません。ホワイトペーパー第6章によると、メインネットの開始時に総供給量の27%が一度に発行されています。
| 区分 | 割合 | 数量 | ロックの条件 |
|---|---|---|---|
| 投資家・創業者・チーム | 23% | 483万QTC | メインネットから1年ロック後、36か月で線形に解除 |
| 会社 | 4% | 84万QTC | 1%は開始時から流通、3%は1年ロック後に36か月で解除 |
| マイニング | 73% | 1,533万QTC | マイニングでのみ発行 |
チームと投資家の分は、2027年9月以降に解除が始まります。マイナーへの報酬から開発者の取り分を差し引く「開発者税」はありません。
取引手数料はマイナーへの報酬になるか、一部が焼却されます。透明な送金は1回あたり約0.0062 QTC、暗号化された送金は送金額の0.04%(最低0.01 QTC)で、暗号化送金の手数料は半分が焼却されます。
第三者による監査
Quantusは、エイガー(Equilibrium Group)やネオダイムなどの監査を受け、8月にはイミュナファイで公開の監査コンテストも実施しました。報告書はGitHubで公開されています。
Quantus(QTC)が話題になっている理由
Quantusが注目されている理由は、メインネットの公開直後から多くのマイナーが集まったことと、10月7日にnear.comで売買できるようになったことです。
同社によると、9月9日のメインネット公開直後から7,000台以上のGPUがマイニングに参加しました。公開から1週間の主なデータは以下のとおりです。
| 項目 | 1週目(9月16日時点) | 3週目(9月30日時点) |
|---|---|---|
| ハッシュレート | 平均11.2 TH/s(最大24.4 TH/s) | 24 TH/s |
| マイニング難易度 | 40時間で3,100倍に上昇 | 300T超 |
| 1 QTCあたりのマイニング費用(推計) | 平均20〜35ドル | 45〜80ドル |
| アクティブ数 | 公開日のウォレット利用者2,371人 | 1日650〜1,100アカウント |
| 発行済み | 1万6,463 QTC(3,546アカウント) | - |
9月16日の時点では、QTCを入手する方法はマイニングしかありませんでした。
10月7日、QuantusはQTCの取引をnear.comで開始したと発表しました。中央集権型取引所への上場はなく、near.comを最初の取引の場に選んでいます。発表では、BTCやETH、USDC、ZECなど180以上の資産からQTCを買えるとしています。
NEAR Intentsの開発元であるDefuse Labsのアレックス・シェフチェンコCEOは、耐量子の資産は人々がすでに持っている資産から届かなければ意味がないとの考えを示しました。
near.comの取引画面では、10月8日16時(日本時間)ごろの時点でQTCが1枚170.95ドル(約2万7,012円)、前日比63.90%高と表示されていました。最新の価格はQuantus(QTC)の価格・チャートで確認できます。
10月8日には、Quantusがシンガポールで開かれるトークン2049の関連イベントとして、NEARと共同で「Quantum & Privacy Day」を開催します。
Quantus(QTC)の買い方【near.com】
- near.comのアカウントを作成
- near.comに暗号資産を入金
- USDCでQTCを購入
- 保有残高を確認
QTCは、NEAR Intentsを使うnear.comで購入できます。near.comは、複数のチェーンの資産を1つのアカウントで扱えるNEARのアプリで、ここでは編集部が実際にUSDCでQTCを買った手順を紹介します。
STEP1:near.comのアカウントを作成
まず、near.comの登録ページを開きます。紹介リンクから開くと、画面上部に「A friend invited you to near.com」と表示されます。

ログイン方法は、パスキー(Touch IDやFace ID)か、外部ウォレットの接続から選べます。外部ウォレットは、NEAR、EVM(メタマスクなど)、ソラナ、ステラ、TON、トロンのウォレットに対応しています。
おすすめと表示されているパスキーを選び、「Create new passkey」でアカウント名を入力したら、あとは画面の案内に沿って進めてください。
作成画面には、パスキーを失うとアカウントと資金に永久にアクセスできなくなるという警告が表示されます。パスキーの保存先は必ず確認しておきましょう。
STEP2:near.comに暗号資産を入金
ログインするとホーム画面が表示されます。「Fund your account to get started」の「Receive」から入金に進みます。画面には、35以上のネットワークで85以上の資産を受け取れると表示されていました。

編集部の環境では、入金は「One-time confidential deposit」として案内されました。上級者向けに先行公開された試験版(Alpha)の機能で、以下の制約があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 最低入金額 | 1ドル相当 |
| アドレスの利用 | 1回のみ。2回目以降の送金は失われる可能性がある |
| アドレスの有効期限 | 3日 |
| アドレスの保存・共有 | しないよう注意書きあり |
確認事項にチェックを入れたら、入金するトークンとネットワークを選びます。編集部は、メタマスクからアービトラム上のUSDCを送りました。

入金用のアドレスとQRコードが表示されるので、送金元のウォレットからアドレスあてに送ります。選んだトークンとネットワーク以外で送ると、資産を失うと警告されています。

着金すると「Deposit received」と表示され、残高に反映されます。
国内取引所から送る場合
国内取引所から送る場合は、取引所が対応するチェーンと、near.comが受け付けるネットワークが一致しているか確認してください。国内取引所からの出金はトラベルルールの影響を受けることがあり、メタマスクなどのプライベートウォレットを経由する方法もあります。
STEP3:USDCでQTCを購入
左側のメニューの「Crypto」を開くと、銘柄の一覧の先頭にQuantus(QTC)が「New」の表示付きで並んでいます。

Quantusを選ぶと、チャートと取引の画面が開きます。注文方法は成行(Market)と指値(Limit)から選べます。
「Sell」に支払う通貨と数量、「Buy」にQTCを指定します。編集部は10 USDCを入力し、「Review buy」をタップしました。画面には交換レートと最大スリッページ(初期値0.50%)、最低受取量が表示されます。

確認画面で「Buy QTC」を押すと、パスキーでの署名を求められます。署名すると取引が実行されます。

STEP4:保有残高を確認
購入が終わると、ホーム画面の「Crypto」タブに保有しているQTCが表示されます。編集部の残高は0.0581 QTC、評価額は9.94ドルでした。

残高の右上には「Receive」「Send」「Swap」のボタンがあります。QTCをUSDCなどほかの資産に戻すときは「Swap」を使います。
「Send」からは、QTCをQuantusのネットワークやNEARのネットワーク、ほかのnear.com利用者へ送れます。Quantusのネットワークを選べば、Quantusのチェーン上のアドレスへ送金できます。執筆時点では、ジーキャッシュやトロン、ソラナのネットワークは選択できませんでした。

【編集部が検証】near.comで10ドル分のQTCを買った結果
編集部が10月8日に10 USDCでQTCを購入した際の画面の数値は、以下のとおりです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 支払い | 10 USDC(10.00ドル) |
| 受け取り | 0.05818 QTC(9.94ドル) |
| 交換レート | 1 QTC=171.87332 USDC |
| 同じ画面のQTC価格 | 170.85ドル |
| 最大スリッページ | 0.50% |
| 最低受取量 | 0.057891 QTC |
交換レートの171.87ドルは、同じ画面に表示されていたQTC価格170.85ドルより約0.6%高い水準でした。10ドルの支払いに対して受け取ったQTCの評価額は9.94ドルで、差額の0.06ドルがこの取引でかかった実質的なコストです。
確認画面に、手数料は別の項目として表示されていませんでした。
最初に「Review buy」を押した時点では0.058194 QTCと表示され、確認画面では0.05818 QTCに変わっていました。価格の動きが速い銘柄では、確認までのわずかな時間でも受取量が変わります。
Quantus(QTC)を買う前の注意点
Quantusを名乗る偽物のトークンに注意
Quantusはスマートコントラクトに対応しない独自のチェーンで、QTCはそのネイティブ通貨です。イーサリアムやソラナなどで発行された「Quantus」「QTC」という名前のトークンは、Quantusの公式な資産ではありません。
分散型取引所(DEX)で名前やティッカーだけを頼りに検索すると、別のトークンを買ってしまうおそれがあります。Quantusの公式サイトは、QTCの入手方法としてマイニングを挙げ、モバイルウォレットからNEAR Intents経由で入手できる機能を「近日公開」と案内しています。
near.comで買う場合も、Crypto画面の一覧から「Quantus(QTC)」を選び、似た名前の銘柄と取り違えないよう確認してください。
国内の取引所では買えず、値動きも大きい
QTCは中央集権型取引所に上場しておらず、国内の暗号資産交換業者でも取り扱われていません。near.comも日本の暗号資産交換業者ではないため、国内の取引所と同じ利用者保護の枠組みの外にあります。
QTCはメインネットの公開から1か月、near.comでの取引開始から数日しかたっていません。near.comの画面でも、1日で60%を超える値動きが表示されていました。
取引の場が限られている銘柄は、売買が少ない時間帯に価格が大きく動くことがあります。注文前に表示される交換レートと最低受取量を確認してください。
チームと投資家に割り当てられた23%のQTCは、2027年9月以降に段階的にロックが解除されます。
near.comの入金アドレスとパスキーの管理、税金
試験版の入金機能では、アドレスを1回しか使えません。同じアドレスに再び送金すると資産を失う可能性があるため、入金のたびに新しいアドレスを発行してください。
パスキーを失うと、アカウントと資金にアクセスできなくなります。
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)の1-3では、暗号資産同士の交換も、手放した暗号資産の譲渡として所得を計算するとしています。ETHなどの暗号資産でQTCを買った場合も対象になり得るため、取引の記録を残しておきましょう。
Quantus(QTC)のよくある質問(FAQ)
執筆時点では、NEAR Intentsを使うnear.comで購入できます。中央集権型取引所への上場はなく、国内の暗号資産交換業者でも取り扱われていません。
発行上限は2,100万QTCです。このうち27%はメインネットの開始時に投資家やチーム、会社向けに発行され、残りの73%がマイニングで発行されます。
QuantusはPoWのチェーンで、誰でもマイニングに参加できます。手順は公式ドキュメントで案内されています。
near.comの送金画面では、Quantusのネットワークを送金先に選べます。Quantusの公式ウォレットは、iOSとAndroid向けにパブリックベータ版が公開されています。
near.comの入金画面では、最低入金額が1ドル相当と表示されていました。編集部は10 USDC分を購入しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.01円)


