ETP運用資産は26兆円に到達、過熱感も一部で意識
資産運用会社「CoinShares(コインシェアーズ)」は26日、暗号資産(仮想通貨)の上場取引型金融商品(ETP)に関する週間レポートを公開した。
レポートによると、先週の仮想通貨への資金流入額は33億ドル(約4,712億円)に達し、年初来(YTD)での累計流入額は過去最高の108億ドル(約1.5兆円)となった。これにより、仮想通貨ETPの運用資産総額(AuM)も、一時的に過去最高となる1,875億ドル(約26兆円)に達した。

このような資金流入の背景には、ムーディーズによる米国経済の格下げと、それに伴う米国債利回りの上昇があるとコインシェアーズは指摘している。こうした経済情勢への不安が、投資家に仮想通貨を選択肢として意識させていると分析されている。
地域別の動向を見ると、最大の資金流入先は米国で、先週だけで32億ドル(約4,569億円)の流入が記録された。米国外では、ドイツが4,150万ドル(約59億円)、香港が3,330万ドル(約47億円)、オーストラリアが1,090万ドル(約16億円)と続いた。一方、スイスでは価格上昇を受けた利益確定の動きが広がり、1,660万ドル(約24億円)の資金流出となった。
銘柄別では、ビットコインが引き続き市場を牽引しており、先週の流入額は29億ドル(約4,141億円)に達した。これにより、2024年のビットコイン関連商品の資金流入は全体の約4分の1を占める規模となっている。また、ビットコイン価格の上昇を一時的な過熱と見た一部投資家の動きもあり、ショート・ビットコイン(価格下落を予想したポジション)商品には1,270万ドル(約18億円)が流入した。これは2024年12月以来の高水準である。
イーサリアムに関しても堅調な動きが見られた。先週の流入額は3億2,600万ドル(約466億円)に上り、過去15週間で最大の金額となった。これでイーサリアムは5週連続の資金流入となり、市場のセンチメントが改善傾向にあることがうかがえる。
一方で、XRPは大きな転換点を迎えた。80週連続で資金流入が続いていたが、先週は過去最大となる3,720万ドル(約53億円)の資金流出が記録された。これにより、XRPへの投資家の姿勢に変化が生じている可能性がある。
このレポートが示すように、仮想通貨は単なる投機対象ではなく、グローバル投資戦略の一環として確立されつつある。特にビットコインとイーサリアムへの資金流入が顕著であり、市場の成熟と投資家層の広がりを物語っている。今後も経済指標や市場の変動要因に対する感応度を持ちながら、仮想通貨市場の推移を注視していく必要があるだろう。
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