米暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベースの投資部門であるコインベース・ベンチャーズは25日、2026年に向けて同社が注目している4つの投資テーマを公開した。
同社は、2025年にステーブルコイン決済や予測市場が普及したことを踏まえ、次のサイクルで主流となる技術やサービスを予測している。開発者からの「次に何を作るべきか」という問いに対する回答として、以下の分野に資金を投じる方針を示した。
RWA先物からAIロボティクスまで、成長領域を一挙公開
1. RWAの「先物」取引
現実資産(RWA)をブロックチェーンに乗せる動きが活発だが、コインベース・ベンチャーズは現物のトークン化以上に、「パーペチュアル(無期限先物)」という取引形態に注目している。
これは、実際に原油や不動産を保有するのではなく、それらの価格変動だけをブロックチェーン上で取引する仕組みだ。現物を裏付けにする必要がないため、未公開企業の株価やインフレ率、経済データなど、あらゆる数値を取引対象にできる。これにより、プロの投資家が好む高度なリスクヘッジが可能になるという。
2. 特化型取引所とトレーディング・ターミナル
取引所や予測市場(未来の出来事を予想して賭ける市場)の使い勝手を向上させるインフラも重要視している。
- より安全なDEX(分散型取引所): 一般的なDEXの弱点を克服し、流動性を提供するユーザーが損をしにくい特別な仕組み(ソラナのプロップAMMなど)を持つ取引所。
- 予測市場のプロ用ツール: 急成長中の予測市場において、複数のサイトをまとめて見られる「アグリゲーター」や、高度な分析ができるトレーディング画面(ターミナル)への需要が高まっている。
3. 次世代DeFi
DeFiは「ただの取引」から「金融インフラ」へと進化する段階にある。
- 取引しながら利回りも稼ぐ: 先物取引でポジションを持ちながら、同時に担保資産で貸借の利回りも得られるような、資金効率の良い仕組みが拡大する。
- 無担保レンディング: 銀行のカードローンのように、資産の担保なしでお金を借りられる仕組み。個人の信用スコアと連携させることで、巨大な市場を取り込む可能性がある。
- プライバシー機能: 自分の資産状況や取引履歴がすべて公開されてしまう現状を変え、情報を守りながら取引できる技術(プライバシー保護)へのニーズは根強い。
4. AIとロボティクス
AI技術とブロックチェーンの融合も、2026年の大きなテーマだ。
- ロボットの育成データ: ロボットが物を掴んだり動かしたりするための学習データは不足している。暗号資産の報酬をインセンティブにして、世界中から質の高いデータを集めるモデルが期待されている。
- 人間であることの証明: AIと人間が見分けられなくなる時代に向け、生体認証などを使い「実在する人間であること」を証明する技術(Proof of Humanity)が必須となる。
- AIによる開発: AIエージェントが、ブロックチェーン上の契約プログラム(スマートコントラクト)を自動で作成・監査するようになり、開発のスピードが劇的に向上する。
今回の発表は、個人投資家にとって市場動向を読み解く重要な材料となる可能性がある。大手VCの投資方針は、過去の事例でも市場のトレンド形成に影響を与えてきた。
コインベース・ベンチャーズが注目する「RWAの先物」や「AI×ロボット」関連のプロジェクトは、今後トークンの新規発行やエアドロップが増加する可能性があり、投資家の注目が集まることが予想される。これらのキーワードに関連する銘柄の動向を追うことは、市場参加者にとって有益な情報収集になると考えられる。
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