ルクセンブルクを欧州事業のハブに選定、規制明確性を評価
米国の大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Coinbase(コインベース)」は20日、ルクセンブルクの金融監督機関である金融セクター監視委員会(CSSF)から「MiCA(Markets in Crypto Assets)」ライセンスを取得したと発表した。このライセンス取得により、コインベースは欧州連合(EU)の全27加盟国において、統一された規制のもとで仮想通貨関連サービスを展開できるようになった。
MiCAは、EU域内で仮想通貨市場を統一的に監督する初の包括的な規制枠組みであり、ライセンス取得は同地域における仮想通貨ビジネスの合法性と透明性を確保するうえで重要な意味を持つ。コインベースは、今回の認可により、約4億5,000万人のEU域内のユーザーに向けて、仮想通貨の売買、保管、送金など、同社の全製品とサービスの提供が可能となった。
発表によれば、コインベースはMiCAライセンス取得に伴い、ルクセンブルクを欧州における仮想通貨事業の拠点とする方針を示している。ルクセンブルクは金融先進国として知られ、ブロックチェーン関連法案を4件可決するなど、分散型台帳技術(DLT)への積極的な姿勢を示してきた。コインベースは同国の規制の明確性と業界理解を評価し、欧州事業の中核拠点として位置付ける考えを明らかにした。
コインベースはこれまでも、ドイツ、フランス、アイルランド、イタリア、オランダ、スペインで個別にライセンスを取得し、欧州展開を進めてきた。MiCAによる新たな統一制度のもと、こうした取り組みが一本化され、より効率的かつ広範なサービス提供が可能になる。
同社は、MiCAの導入が欧州における仮想通貨エコシステムの成長を支える重要な土台となると評価する一方で、欧州がグローバルな競争力を維持するためには、今後も政策面での迅速かつ野心的な対応が必要だと提言している。CSSFの高水準な規制実務を高く評価しつつ、同様の姿勢がEU全体に広がることに期待を寄せた。
コインベースの動きは、欧州における仮想通貨ビジネスの正規化と信頼性の向上に寄与するものだ。MiCAの施行により、統一されたルールのもとでサービスが提供されることは、利用者保護の観点からも大きな意義がある
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