英BBCは1日、世界最大級とされる61,000BTC(現在価格で約1兆680億円円相当)の押収事件で、中国国籍のジミン・チェン容疑者(別名ヤディ・ジャン、47歳)が有罪を認めたと報じた。ロンドン警視庁によると、同容疑者は暗号資産(仮想通貨)の不法取得・所持の罪で、サザーク刑事裁判所で罪を認めたという。
12万8,000人を騙した大規模詐欺の首謀者
BBCが警視庁の発表を引用して伝えたところによると、チェン容疑者は2014年から2017年にかけて中国で大規模詐欺を主導し、12万8,000人以上の被害者から資金を騙し取り、盗んだ資金をビットコインで保管していた。中国メディア「Lifeweek」の2024年報道では、被害者の多くは50歳から75歳で、数十万元から数千万元を投資していたとされる。
BBC報道によれば、投資家らは友人や家族の勧めでチェン容疑者の投資スキームに参加したが、「富の女神」と呼ばれた同容疑者についてほとんど何も知らなかった。被害者には事業家、銀行員、司法関係者も含まれていたという。
チェン容疑者は偽造書類を使って中国から逃亡し、英国に入国。盗んだ資金を不動産購入により洗浄しようと試みていたと警視庁は説明している。
マレーシア人共犯者も有罪認める
BBCによると、2日にはマレーシア国籍のセン・ホク・リン容疑者(ダービーシティ州マトロック在住)も同裁判所でマネーロンダリング関与の罪を認めた。同容疑者は2024年4月23日以前にチェン容疑者の代理で暗号資産取引を行い、犯罪収益の管理を促進する行為を行っていたとされる。
この事件では、中華料理店で働いていたジアン・ウェン容疑者(44歳)も関与しており、昨年6年8カ月の実刑判決を受けている。英国検察庁によると、ウェン容疑者は詐欺収益を洗浄し、ロンドン北部の高級住宅に移住し、ドバイで50万ポンド以上の不動産2件も購入していた。
英国政府の押収資金保持方針
BBC報道では、一部で英国政府が押収した資金の保持を求めているとの情報もあるとしている。前保守党政権下での犯罪法制改革により、英当局による暗号資産の押収、凍結、回収が容易になったと英政府は説明している。
チェン容疑者の弁護士ロジャー・サホタ氏はBBCに対し「チェン氏は有罪を認めることで、2017年以来補償を待っている投資家に安心感を与えたいと考えている」と述べた。
判決は11月10日に行われ、2日間の判決審理でリン容疑者も出廷する予定だ。
※価格は執筆時点でのレート換算(1BTC=17,500,000円)