「Cardano Card」構想が明らかに──カルダノの商業化組織EMURGOが主導

木本 隆義
9 Min Read

ADAを日常決済に活用へ

ブロックチェーンプロジェクト「Cardano(カルダノ)」とそのビジネス開発部門である「EMURGO(エマーゴ)」は15日、新たな物理カード「Cardano Card(カルダノカード)」の構想を明らかにした。

カルダノカードは、巷にあふれる単なる「暗号資産(仮想通貨)カード」とは一線を画す、というふれこみである。なぜなら、単に仮想通貨で支払いができるだけでなく、カルダノが目指す金融の未来図を、我々の財布の中に直接届けよう、という革新的な試みだからだ。利用者はこのカードを通じて、保有する仮想通貨を日常生活で利用できるようになる。

具体的には、カルダノのネイティブトークンであるADA(エイダ)はもちろんのこと、ビットコイン(BTC)ソラナ(SOL)、さらにはUSDCやUSDTといった主要なステーブルコインでの支払いが世界中で可能になるという。これまで「HODL」、すなわち「長期保有」が主戦場であった仮想通貨を、いかにして「使う」資産へと変貌させるか。これは、業界全体の積年の課題であった。したがって、このカードは、その難問に対するカルダノなりの一つの回答といえる。

このカードの真価は決済機能だけにとどまらない。むしろ、その裏側にあるエコシステムへの貢献こそが、プロジェクトの核心部分をなしている。発表によれば、カード利用によって生じた収益の一部は、カルダノのトレジャリー(財務基金)に再投資される計画だ。これは、プロジェクトの長期的な持続可能性と、ネットワーク全体の成長を促すための重要なしくみである。つまり、ユーザーはカードを使うだけで、間接的にカルダノの分散型ガバナンスを強化し、エコシステムの未来を支えることになる。

将来的な展望も示唆されている。たとえば、ADAをカードに紐づけてステーキングし、報酬を得る機能。あるいは、ADAを担保としてステーブルコインを借り入れるDeFi(分散型金融)的な機能。そして、カードでの支払いに応じて、オンチェーンでADAのリワードが付与されるしくみなど、まさに「金融の未来像を一枚のカードに集約」しようとしている。

このカルダノカードが、単なる決済ツールを超え、カルダノ経済圏を現実世界へと接続する“クリプトパスポート”となるのか? カルダノカードの成否は、仮想通貨の未来を占う上で “プロポーズ前夜の指輪サイズ測定(Measuring ring size the night before the proposal)”となるだろう。

関連:仮想通貨エイダコイン(ADA/カルダノ)とは?特徴や今後の将来性について徹底解説
関連:カルダノ、過去1年の開発コミット数がイーサリアム超え──GitHub活動で首位

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
Follow:
リージョナルスペシャリスト(SEA)。仮想通貨歴は10年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA