ビットコインは現在(26日執筆時点)8万6,000ドルから8万8,000ドルの価格帯を推移している。押し目買いと戻り売りが拮抗し、方向感のない展開が続く中、オンチェーンデータからは本格的な強気相場再開に必要な条件がいくつか浮かび上がってきた。
ビットコインが歴史的な反転ポイントに接近
オンチェーン分析企業クリプトクオントのアナリスト、gaah_im氏は25日、公式Xで「ビットコインの底固めが完了したという確証はまだないが、統計的には主要な底入れを示唆している」との見解を投稿した。
マイナー収益を基準にビットコインの割安度を測る指標「Puell Multiple」が、ディスカウント(割安)ゾーンに突入している。この水準が最後に確認されたのは2025年3月で、ビットコイン価格が約7万5,000ドル付近で推移していた時期だ。現在の下落局面との類似性が指摘されている。
歴史的に、この割安ゾーンは主要な調整局面の反転ポイントと密接に関連してきた。過去の強気相場でも、価格が大きく下落したタイミングでPuell Multipleが割安ゾーンに入り、その後市場が持ち直すケースが複数回確認されている。
今回も同様のパターンを示していることから、gaah_im氏は「新たな上昇トレンドは、こうした悲観的な局面で形成される」と強気の姿勢を示した。
8.5万〜8.65万ドル維持が強気転換の条件
マーケット分析企業スイスブロックは25日、公式Xで「ビットコインの価格が8万5,000ドルから8万6,500ドル以上で安定すれば、強気シグナルが再び点灯する」との分析を発信した。
ビットコインは直近安値の8万ドル付近から力強く反発し、一時8万9,000ドルを突破した。しかし、相場の勢いを示すPrice Momentumは依然として最低水準のマイナス1で停滞している。
この状況から、今回の価格上昇はあくまでテクニカル的な反応にすぎず、まだ完全なトレンド転換には至っていないと分析されている。本格的な市場心理の転換には、現在の価格帯を一定期間維持する必要があると結論付けられた。
短期保有者の実現価格超えが市場回復のカギ
オンチェーン分析企業グラスノードは25日、公式Xで「ビットコインの価格が短期保有者(STH)の実現価格(平均取得価格)を依然下回っている」と指摘した。
現在、多くのSTH(保有歴12カ月未満)は含み損を抱えており、短期的な相場環境は依然として悲観ムードだ。しかし、市場全体の実現価値と比較するとはるか上方に位置しており、中期的には方向感が定まらない状況だと言える。
「再びSTHの実現価格ライン(9万ドル付近)を上回るかどうかが、市場の回復にとって重要なカギとなるだろう」とグラスノードは分析している。
直近の大きな反発により、市場にはやや安堵感が生まれているものの、オンチェーンデータは依然として弱気相場の継続を示唆している。底入れを示すサインも確認できるが、本格的な市場回復には現価格帯の維持や、STH実現価格ラインの上抜けなど、よりポジティブな材料が必要になる。
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