デジタル資産に特化した投資運用会社「B Strategy(ビー・ストラテジー)」は25日、暗号資産(仮想通貨)取引所大手「Binance(バイナンス)」の投資部門を前身とする「YZi Labs(ワイジー・ラボ)」から戦略的な支援を受け、BNBを専門に扱うトレジャリー(財務管理)会社を立ち上げると発表した。
技術開発や助成でBNBエコシステム成長を後押し
新会社設立の目的は、単にBNBを保有することに留まらない。むしろ、投資の神様ウォーレン・バフェットが率いる「Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)」のように、BNBを中心とする経済圏そのものに深く関与し、その成長を促す存在となることを目指している。具体的には、エコシステムの中核となる技術開発への投資や、有望なプロジェクトへの助成金提供、そしてコミュニティ活動の支援などに、10億ドル規模の資金を投じていく計画である。
なぜ今、BNBなのか?ワイジー・ラボの責任者であるエラ・ジャン氏は、「BNBは取引量、ステーブルコインとの連携、そして実世界資産の取り込みにおいて、Web3を動かす次世代金融システムの礎となりつつある」との見方を示す。事実、BNBチェーンは1日あたりの取引件数で他の追随を許さず、その上で稼働するプロジェクト数も業界で2番目の規模を誇る。Bストラテジーは、まさにこの巨大な経済圏の将来性に賭けたのである。
Bストラテジーの創業者レオン・ルー氏は、「我々の目標は、1株あたりのBNB価値を最大化する戦略を追求することだ」と語る。米国の上場企業という透明性の高い枠組みを利用することで、機関投資家が安心してBNBエコシステムにアクセスできる道筋を作る。アジア太平洋地域に広がる自社の強力なネットワークと、米国株式市場の規律を組み合わせることで、グローバルな投資家とBNBチェーンで生まれる革新とを結びつけることができると、同氏は自信をのぞかせる。
この計画を支えるのは、百戦錬磨の経営陣である。共同創業者で「Bitmain(ビットメイン)」の元CFOであるマックス・ファ氏は、「ビットコインマイナーたちとの仕事を通じて、産業レベルのガバナンスと透明性の重要性を痛感した」と述べる。その経験を活かし、新会社では第三者による資産保有状況の証明や、最高水準の資産管理体制を導入するという。香港からニューヨークまで、あらゆる投資家が効率的に、そして信頼をもってBNBに投資できる環境を整備するねらいだ。
この動きはすでに市場の関心を集めている。アジアを拠点とする複数の有力なファミリーオフィスが、初期段階の投資家として名を連ねていることが、その期待の高さを物語っている。今後数週間以内に、関連する資金調達の完了が発表される見込みである。
仮想通貨というフロンティアに、伝統的な金融市場の規律を持ち込もうとする今回の取り組み。それは、機関投資家という巨大なマネーを仮想通貨市場に呼び込む新たな呼び水となるかもしれない。彼らはBNB経済圏の「バークシャー・ハサウェイ」となり得るのか? 市場関係者はその動向を注意深く見つめている。
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