BNBチェーンは4日、自律型AIエージェント向けの身分証明と評判管理システム「ERC-8004」をBSCメインネットとテストネットに展開したと発表した。この規格は、AIソフトウェアが単一のアプリやプラットフォームを超えて動作する際に必要な信頼基盤を提供する。
AIに「パスポート」と「信用スコア」
ERC-8004は2つの中核機能を持つ。
第1は「アイデンティティレジストリ」だ。各AIエージェントに一意で検証可能なオンチェーンIDを発行し、ユーザーやスマートコントラクトが正規のエージェントと偽物を区別できるようにする。BNBチェーンはこれを「AIのパスポート」と表現している。
第2は「レピュテーションレジストリ」で、AIの過去の行動履歴をブロックチェーン上に記録する。成功したタスクや良好な相互作用が記録され、エージェントはエコシステム全体で持ち運び可能な評判を構築できる。これは「AIの信用スコア」として機能し、時間をかけて信頼を獲得する仕組みだ。
BNBチェーンを選んだ理由は実用性にある。AIエージェントは頻繁に小規模な取引や相互作用を行うため、低手数料と高速トランザクションが不可欠だ。高コストや遅い決済では、身分証明システムは理論上の存在に留まってしまう。
同チェーンは「実験段階を超えて設計されたエコシステム」を強調しており、ERC-8004ベースの身分証明を日常的に使用できる環境を提供するとしている。
イーサリアムで誕生、他チェーンへ展開
ERC-8004は元々イーサリアムで提案された規格である。イーサリアム開発者は1月下旬、AIエージェントが異なるシステム間で相互作用する際に身元を証明し、信頼を判断できるようにする標準として設計したと発表していた。
BNBチェーンへの展開により、この規格はより広範なエコシステムで利用可能となった。同チェーンは「AIエージェント経済がBNBチェーンに到来した」と宣言し、自律型ソフトウェアの信頼性と相互運用性を高める基盤が整ったとしている。
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今日のAIツールの多くは、セッションが終了するとリセットされ、過去の行動を検証することが困難だ。身分証明がなければ、AIエージェントは評判を構築できず、評判がなければ信頼されず、信頼がなければオープンシステムで独立して動作できない。
ERC-8004はこの課題に対処する基盤レイヤーとなる。身分証明が確立されれば、エージェント間の支払いが容易になり、作業を自動的に検証でき、評判は主張ではなく行動から生まれる。
AIエージェント経済への投資家の関心高まる
ERC-8004のような身分証明インフラと並行して、AIエージェント向け決済基盤の開発も加速している。
AIエージェント決済特化型ブロックチェーンのKite AI(カイトAI)は1月27日、メインネットロードマップを発表し、KITEトークン
KITE価格は約43%急伸した。同プロジェクトはコインベースベンチャーズから資金調達を受けており、AIエージェントが自律的に経済活動を行うための決済・認証インフラを構築している。
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ERC-8004が「誰がAIか」を証明するのに対し、Kite AIは「AIがどう支払うか」を解決する。両者は相互補完的な関係にあり、AIエージェント経済の成立には双方のインフラが不可欠だ。
BNBチェーンによるERC-8004の展開と、Kite AIへの投資家の関心は、自律型AIソフトウェアが実用化に向けて着実に前進している証左といえる。BNBチェーンは「これは終着点ではなく、出発点だ」と述べており、今後もAI経済の拡大に向けたインフラ整備を進める方針だ。
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