米イーサリアム投資企業ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(NYSEアメリカン:BMNR)は17日、11月10~16日にかけて54,156 ETH(本記事執筆時点の価格で約253億円相当)を追加購入したと発表した。これにより同社のイーサリアム保有量は約355万 ETHに達し、評価額は約1.7兆円にのぼる。
サイクル天井は2026年ではなく「12〜36か月先」との見方
同社の暗号資産(仮想通貨)・現金・戦略投資を合わせた保有額は118億ドル(約1.8兆円)に達し、特にイーサリアムが中心的な資産となっている。イーサリアム投資企業としては世界最大、暗号資産全体でもビットコイン投資企業のストラテジー社に次ぐ世界2位の規模となっている。
リサーチ会社ファンドストラットの代表も務めるビットマインのトム・リー会長は、10月10日の大規模デレバレッジ後に暗号資産価格が戻りにくい理由として、一部マーケットメーカーのバランスシート悪化による流動性低下を指摘した。流動性が細ることで、市場には量的引き締めに近い効果が生じ、価格回復を抑える可能性があると述べた。
またリー氏は、暗号資産の「4年サイクル」について、5つの説明要因を検証したと説明した。その中で特に重要なのが、景気指標であるISMと、銅と金の価格比率の2つであるという。銅/金比は産業活動と金融ベースの強弱を示す指標で、ピーク時期が暗号資産の天井と一致しやすいとした。
これらの動きを踏まえ、今回のサイクルピークは「12〜36か月先」に位置する可能性があると述べ、一般的な2026年ピーク観とは異なる見方を示した。
イーサリアムについては、Fusakaアップグレード、ステーブルコイン流通の増加、株式・債券・不動産のトークン化など基盤強化の動きが進んでいるとした。リー氏は、資産のトークン化は時間・地域・商品属性を分解(ファクタリング)した新たな設計を可能にし、発行体と投資家の双方に高い透明性をもたらすと述べた。
ビットマインが市況悪化時にもイーサリアムを買い増す姿勢は、個人投資家にとって中長期の相場観を考える際の指標になる。特に同社のように供給量の大部分を保有するプレイヤーの動きは、需給の偏りや市場の成熟度を見極める材料となる。価格だけでなく大口保有者の戦略にも注意を向けることが必要だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.2円、1 ETH=486,000円)




