ビットコインは日本時間29日午後に一時9万ドルを突破したが、その後強力な戻り売り圧力により大きく下落し、陰線で引けた。そんな中、2026年に向け、市場にとってポジティブな兆候もいくつか確認されている。
流動性環境の改善で2026年は底堅い展開か
オンチェーン分析プラットフォームのアルファエクストラクトは30日、公式Xにて2026年の
BTC市場に対するポジティブな見解を投稿した。
年末に向け、世界の流動性は直近で0.49兆ドル(約76兆6,850億円)、0.34%増加。一般的に、流動性の増加はリスク市場にとって追い風とされている。
さらに米財政フローに見られる「ステルスQE」的な動きの継続や「次のFRB議長が、トランプ大統領の方針に沿った選択となる可能性が高い」ことへの期待なども市場の支えとなっている。
加えて中国では例年、年初にかけて流動性が強まりやすい傾向があるなど、複数のポジティブ要因が重なっており、2026年に向けたビットコイン市場の地合いは「総じて底堅い」というのがアルファエクストラクトの主張だ。
ただし流動性の水準が上がったとしても、市場がリスクを取りにいく局面へ移行するためには「増加の勢い=モメンタム」を伴う必要がある。そこで重要なのが、リスクオン/オフの転換を統計的に捉えるための指標、RoC(Rate of Change)だ。
足元では3か月RoCが上向きに転じた一方、まだ「リスクオン閾値」には届いておらず、相場が一気に楽観へ傾くためには決定打に乏しい。この状況が変わらない限り、新年に入っても強気・弱気の両勢力によるせめぎ合いは続くだろう。
とはいえ、最終的には流動性の動向がトレンドを決定する傾向にあるため「ポジティブ要因が不安要素を上回る可能性が高い」とアルファエクストラクトは結論づけた。
今回の強気相場は5.5年間に延長か
ビットコイン分位モデルの作成者であるPlan C氏は、自身のXにて「ビットコインの強気サイクルが長期化する可能性がある」と指摘した。
今回のビットコイン強気相場は、価格構造や投資家心理、資金の流れを見ても、基本的な動きはこれまでのサイクルとよく似ているが、ひとつだけ決定的に異なる点がある。それは、時間軸が大きく遅れているという点で、過去のサイクルと比較すると、現在の局面は歴史的に見て約12〜18か月ほど後ろ倒しになっていると考えられる。
実際今サイクルでは、マクロ経済環境や金融政策、地政学的要因などが複雑に絡み合った結果、調整局面が長期化し、底値形成までに想定以上の時間を要した。
この遅れを前提に考えると、今回の相場サイクルは、これまでの平均的な約4年の周期では終わらず、5年から5.5年程度に及ぶ可能性があるとPlan C氏は分析している。
ビットコインは引き続き狭いレンジ帯で推移しているが、2026年にはポジティブな展開も期待できそうだ。とはいえ、やはり短期的には依然不安定な状況が続いており、本格的な強気相場に突入するためには、より確証の高いサインを確認する必要があるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.05円)




