トランプ米大統領は13日、政府機関の封鎖を終わらせるつなぎ予算案に署名。米国史上最長となる43日間に及ぶ対立に終止符が打たれた。ホワイトハウス報道官を務めるキャロライン・レビット氏はX(旧Twitter)にてトランプ大統領の署名の瞬間を動画付きで投稿している。
長期間の政府封鎖の影響は、「数百万世帯への食糧支援停止」「数千便におよぶ航空便の欠航」「1か月以上に渡る連邦職員への給与未払い」「経済指標の発表延期」など、広範囲に影響を及ぼしていた。
すでに政府は通常業務の再開に向けて動き始めており、米行政管理予算局(OMB)のボート局長は、各省庁のトップ宛てに「各機関は11月13日に迅速かつ秩序立った形で業務を再開できるよう、必要なあらゆる措置を講じるべきだ」と述べている。
しかしながら、1か月以上に渡る封鎖からの再稼働は一筋縄ではいかない様子。ダフィー運輸長官は「1週間以内に航空便に対する制限を撤廃する方向で前向きな検討を始められると期待している」と述べており、全面再稼働に向けては時間を要する見通しだ。
つなぎ予算の成立により、連邦政府の大半は2026年1月30日まで運営を維持することが可能となる。ただし、民主党が封鎖解除の条件として求めていた医療保険制度改革法(オバマケア)の保険料補助の延長は今回の法案に盛り込まれていないため、期限までに同問題が解消されなければ再び閉鎖の危機が訪れる可能性がある。
マーケットは上院可決・下院可決の時点で段階的に封鎖解除を織り込んでおり、発表後には一時的にリスクオンに動く場面も見られたが、単なる先送りとの見方もあることから反応はささやかなものとなった。
10月の米雇用統計とCPIは公表されない可能性大
12日、ホワイトハウスのレビット報道官は、政府機関の封鎖による影響で10月分の雇用統計と消費者物価指数(CPI)は公表されない可能性が高いと述べた。同氏は加えて「(経済データの欠如により)連邦準備制度理事会(FRB)当局者は重大な局面を視界遮断の状態で飛行するしかなくなる」とも述べている。
次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は12月9日-10日に開かれる予定。連続3回目の利下げを実施するかどうかが焦点となる。
FRBはデータ不足の状況で慎重な姿勢を取る公算が大きく、マーケットも経済成長と雇用を支えるためには金利を維持もしくは引き下げる方向に傾く可能性が高いと見込んだ動きをしているようにみえる。
ビットコインは10万2,000ドル台を推移

ビットコインは政府機関の封鎖解除が決定した直後は上昇する場面も見られたが、決済による売り圧力が強く、10万1,000ドル台まで押し戻された。現時点(日本時間14時)では10万2,000ドル台を推移しており、先日から続くレンジ相場の節目を意識した動きを続けている。
テクニカル面では、下値のサポートとして10万1,000ドル台、続いて10万ドル台が底堅い。上値のレジスタンスでは10万5,000ドル台、続いて10万8,000ドル台が壁となる。今年のイベントとしてはFOMCが控えているが、前述したようにデータ不測の状態ではサプライズが見込めないため、しばらくはレンジ内での動きを想定したトレード戦略を組み立てていくべきだろう。
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