1日にADP雇用者数が発表されたが、市場の予測を大きく下回る結果に暗号資産(仮想通貨)全体が強く反応。特にビットコイン(BTC)は重要な価格ラインを超え最高値への期待が高まる。アルトコイン市場もイーサリアム(ETH)の供給量が歴史的な低水準に達し売り圧が大幅に減少。ソラナ(SOL)・XRPのETFが10月中に複数承認予定などポジティブなファンダが続いている。
雇用統計サプライズで全体的に強気な値動き ビットコインは最高値を目指す

米政府の閉鎖が確定し、先送りになる見通しだったADP雇用者数の発表が1日、当初の予定通り行われた。市場予想は5万人の雇用増だったのに対し、結果は3.2万人減。さらに前回5.4万人増だった速報値が、0.3万人減に改定され、市場にとって大きなサプライズとなった。

この結果から利下げ観測が高まり仮想通貨市場は高騰。特にビットコインは日足レベルの下降チャネルを抜け、史上最高値の射程内まで上昇している。

ポリマーケットでも10月に0.25%以上の利下げが行われるとの予測が91%に到達。10月半ばに発表が予定されている消費者物価指数(CCPI) と 生産者物価指数(PPI)でインフレの鈍化が確認されれば、利上げ観測がさらに高まり、市場にとって大きな追い風となるだろう。
ただ、米国の政府閉鎖が解除されていない場合、発表が延期される可能性もある。3日に非農業部門雇用者数などが発表される予定だったが、こちらも延期が濃厚だ。
ビットコインETFへの流入継続 オンチェーンデータも強気相場を示唆
9月30日はビットコイン現物ETFに4億2,990万ドル(約632億円)が流入し、29日から2日間で強力な買い圧が発生。先週の弱気な動きから、投資家心理の大きな変化が伺える。

またオンチェーンデータに目を向けると、ビットコインの価格がトレーダーの平均取得額を突破。これは現在損失を抱えているホルダーが大きく減少していることを示しており、損切りが発生しにくくなるため売り圧力も小さくなる。つまり、より価格上昇しやすいフェーズに入っており、上値余地が16万ドルから最大20万ドルまで拡大している。

また清算ヒートマップからは、19万ドル手前にあった大きな流動性クラスターの突破が確認できる。歴史的に見て、大量のポジションがロスカットされた後はトレンドがさらに強化される傾向にあるので、ここからの続伸が期待される。

ただし、市場の過熱感を表すRSIが4時間足レベルで「買われすぎ」を示しており、小幅な調整が起きてもおかしくはない状況だ。リスクを最小限に抑えたい場合は、一旦様子見するのも選択肢の一つと言える。
イーサリアムの供給量が歴史的な低水準に XRP・ソラナもETF承認期待で堅調

中央集権取引所(CEX)におけるトークンの供給状況を表すフラックス・バランスによると、歴史上はじめてイーサリアムの残高がマイナスに転じた。つまり、取引所には売却するイーサリアムがほとんどないことを示しており、売り圧の大幅な減少につながる。

また流出入のフローを見ても、連日1,500億円を超える流出が続いており、投資家のイーサリアムETHを長期保有しようという姿勢が伺える。

さらに、BTCドミナンスの上昇も一服からやや下落の方向性を示しており、今後アルトコインへの資金流入が期待できそうだ。このような要因からイーサリアムに対する史上最高値更新への期待は急速に高まっている。
また、米国証券取引委員会(SEC)がこれまで最大240日かかっていたETFの承認期間を最大75日に短縮したことで、今月中に複数のXRP・ソラナ現物ETFが承認されると予想される。

特にXRPは、資産運用額1,5兆ドル(約220兆円)を誇るフランクリン・テンプルトン社を筆頭に7件のETF承認が決定される見込みで、無事上場されれば市場にも大きなインパクトになるだろう。このような背景からアルトコイン市場も強気な気配に包まれており、イーサリアム・ソラナ・XRPをはじめ、全体的に上昇基調が続いている。
弱いADP雇用者数による利下げ観測や、強気相場を示すオンチェーンデータなどによりビットコイン・アルトコイン共に堅調。10月中旬に発表されるインフレ指標や、XRP・ソラナETFの動向次第でさらにトレンドが本格化する可能性も。ただ、政府閉鎖が長期化した場合指標発表が遅れ、不確実性の高まりから価格が乱高下する展開も考慮しておこう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147円)