テザーCEO「15年以内にAIエージェントがビットコインとUSDTで自律的取引へ」

伊藤 将史
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AI経済圏の拡大で仮想通貨決済が主流になるか

ステーブルコインUSDTの発行元である「Tether(テザー)」社のCEO、パオロ・アルドイーノ氏は24日、将来的にAIエージェント同士の経済圏が爆発的に拡大し、その中心的な決済手段としてビットコインとUSDTが使われるようになる、との予測を明らかにした。

この発言は、暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block(ザ・ブロック)」のポッドキャストに出演した際のものである。同氏は「将来、すべてのAIエージェントはウォレットを持つようになり、それはセルフカストディであるべきだ。15年後には1兆ものAIエージェントが存在するようになるだろう」と発言。これらの自律的に活動するAIエージェント同士の取引において、ビットコインとUSDTが主要な決済通貨になるとの見方を示した。

AIエージェントとは、人間の監視なしに他のマシンと相互作用できる自律的なソフトウェアボットのことだ。将来的にオンライン活動の大半をAIエージェントが占めるようになると予想されており、その際の決済手段として仮想通貨が利用されるという。

アルドイーノ氏は、その理由について「『JPMorgan(JPモルガン)』のような伝統的な金融サービス事業者が、自律型ボットを顧客として受け入れることは考えにくい」と指摘。銀行口座を開設できないAIエージェントは、必然的にブロックチェーンベースの資産、特にステーブルコインやビットコインを利用して取引を行うようになると論じた。

同氏は、その中でもUSDTが最も理にかなっていると主張。理由として、USDTがすでに他のどのデジタル通貨よりもトレーダーに広く利用されている、という事実を挙げた。

テザー社は近年、ステーブルコイン発行事業に加え、AI分野への進出を加速させている。

2024年4月には、オープンソースAIモデルの開発を促進する「Tether Data(テザーデータ)」を立ち上げた。さらに同年5月には、数十億のAIエージェントによるP2Pネットワークの実現を目指す分散型AI基盤「Tether AI(テザーAI)」を発表。また、昨年11月にローンチしたウォレット開発キット(WDK)は、「AIエージェントがセルフカストディウォレットを統合するための準備がされたツール」である、とアルドイーノ氏は今回のインタビューで言及している。

今回の発言は、単なる未来予測に留まらず、テザー社が自社の製品であるUSDTとそのインフラを、将来到来するAI経済圏の基盤として位置付けようとする、事業戦略の表明と捉えることもできる。AI経済圏が誕生し、仮想通貨が主要な決済手段として使われるのか、注視しておこう。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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