メイプルとアーベが提携──機関投資家資産の導入でDeFi市場拡大へ

伊藤 将史
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オンチェーンでの機関投資家向け融資プラットフォームであるメイプル・ファイナンスと、DeFi(分散型金融)レンディングの最大手アーベは21日、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

Mapleの機関投資家向け資産がAaveの担保に追加

このパートナーシップの目的は、メイプルが提供する機関投資家グレードの資産を、アーベの新たな担保クラスとして導入することにある。これらの資産は、信頼性の高い安定利回りによって裏付けられ、市場サイクルを通じて安定したパフォーマンスを発揮することが期待される。

具体的には、ガバナンス承認を経て、メイプルの利回り付きステーブルコインであるsyrupUSDTがアーベのPolygon zkEVMネットワーク上の市場に、syrupUSDCがアーベのコアマーケットに、それぞれ担保資産として追加される予定だ。

アーベはXで、「これにより、安定した信頼性の高い利回りに裏付けられた、新しい機関投資家グレードの担保が借り手に導入される」とコメントしている。

メイプルの資産がアーベの担保となることで、アーベプロトコル全体にいくつかの重要なメリットがもたらされると両社は説明する。

  1. 借り入れ需要の安定化:機関投資家向け資産は、市場の変動に左右されにくい安定した利回りを提供するため、アーベにおける借り入れ需要を安定させる効果が期待される。
  2. 資本効率の向上:新たな担保オプションが増えることで、プロトコル全体の資本効率が向上する。
  3. 機関投資家需要へのアクセス:メイプルが持つアロケーター(資金配分者)と借り手のネットワーク(数十億ドル規模の運用可能資本)へのアクセスがアーベにもたらされ、プロトコルの利用率向上と流動性向上につながる。
  4. アーベの地位強化:機関投資家グレードの資産を取り込むことで、アーベはDeFiにおける主要なレンディングプロトコルとしての地位をさらに強固にする。

メイプルは、「これはDeFiの次のフェーズがどのように構築されるかを示している。すなわち、最も深い流動性レイヤー(アーベ)と、最大のオンチェーン資産マネージャー(メイプル)が連携することによってだ」と、今回の提携の意義を強調した。

今後、両社はこのパートナーシップをさらに拡大し、新たな資産の上場も検討していくとしている。機関投資家の資金とDeFiの巨大な流動性を結びつけるこの動きは、DeFi市場全体の成長と成熟を加速させる可能性を秘めている。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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