老舗DEXアグリゲーターの1inch(ワンインチ)は1日、ブランドリニューアルを実施したと発表した。新たなビジュアルアイデンティティとウェブサイトのデザイン刷新により、「DeFiを誰でも使えるものにする」という同社のミッションをより明確に表現していく方針だ。
DeFi普及の鍵は「統合」にあり
ワンインチは今回のリブランディングについて、「DeFiは金融の未来だが、その潜在能力は使いやすくなるまで実現されない」と説明している。同社は、大衆採用の背景にある「統合」こそが重要だと強調する。
ブラックベリーやパームパイロット、MP3プレーヤーからiPhoneへの進化、店舗間を移動しての買い物からアマゾンのワンクリック注文への変化と同様に、「複雑なDEXの操作、リスクの高いクロスチェーンブリッジ、統合の回避策」から「1inch.com」への進化を目指すとしている。
シンプルなデザインで使いやすさを追求
新しいビジュアルデザインは、プロダクトの使いやすさ向上を重視している。ワンインチは「デザインがツールの使い方を形作る」との考えから、視覚的な明瞭性がプロダクトをより使いやすくすると説明した。
新デザインはよりシンプルになっており、ユーザーが実行方法に気を取られることなく目標に集中できるインターフェースの提供を目指している。このシンプルさは、「ただ機能する」技術の強力な機能性を反映しており、ビジネス顧客が必要とする効率性と信頼性を提供するという。
従来のコミュニティスピリットや価値観は、グラフィックの大胆さ、ユニコーンエンブレムの痕跡、日々のコミュニケーション方法に引き続き反映される。一方で、DeFiのリーダーとして、伝統的な金融機関、一般ユーザー、そしてより広い世界から真剣に受け取られる準備ができた成熟した産業を代表するとしている。
ブルース・リーの「1インチパンチ」からインスピレーション
同社の名前は、ブルース・リーの「1インチパンチ」(精密に届けられる力)からインスピレーションを得ており、効率性への注力が今後も同社の行動指針となるとしている。
ワンインチは最初のDEXアグリゲーターとして始まったが、現在では完全なプロダクトエコシステムを提供し、流動性を統合し、DeFi、中央集権型暗号資産機関、伝統的金融(TradFi)にわたる幅広いパートナーにインフラを提供している。
「効率性とシンプルさが金融の未来の鍵」
ワンインチは、構築を進める中で統合の重要性をますます認識していると述べている。ユーザーは力を求める一方で、「ただ機能する」直感的な体験も求めている。機関投資家は効率的にスケールし、標準としてコンプライアンスを提供するインフラを必要としている。
「インターネットがどのように機能するかをもはや本当に考えないように、DeFiは摩擦がないために、その技術と価値観が当たり前に受け取られるときに大衆採用に到達する」と同社は説明している。
Web3の汎用技術化を目指す
ワンインチは、Web3が汎用技術になる可能性があり、その中でDeFiが価値と交換についての考え方を再定義できるとしている。ただし、それは統合された場合に限るとの見解を示した。
「プロトコル、流動性、人々を接続し、共に金融の未来を構築できるようにすること」が同社のミッションだと強調している。
新サイト「1inch.com」で新たなスタート
今回のリブランディングに合わせて、ワンインチは新しいウェブサイト「1inch.com」を開設した。新サイトでは刷新されたビジュアルアイデンティティが反映されており、同社のプロダクトエコシステムへのアクセスがより直感的になっている。
ワンインチは「We move forward as 1″(私たちは1つとして前進する)」をスローガンに掲げ、DeFi業界の統合と発展に向けた取り組みを継続していく方針だ。
今回のリブランディングは、ワンインチがDEXアグリゲーターからDeFiインフラプロバイダーへと事業領域を拡大する中で、より幅広いユーザー層への訴求と伝統的金融機関との連携強化を図る戦略的な動きと見られる。シンプルで直感的なデザインへの変更は、DeFiの大衆採用加速に向けた重要なステップとなりそうだ。
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