ヴィーナスプロトコル、フィッシング攻撃から全面復旧──被害額1,350万ドルも回収済み

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産(仮想通貨)のレンディングサービスを提供する「Venus Protocol(ヴィーナスプロトコル)」は3日、前日に発生したフィッシング攻撃から完全に復旧し、ユーザーの引き出しや清算を再開したと発表した。なお、流出したユーザー資産については、同プロトコルの保護下で回収したという。

停止していた引き出しと清算を正式に再開

ヴィーナスプロトコルは2日、ユーザーのウォレットから不正な資金流出が発生していることを検知。被害拡大を防ぐため、スマートコントラクトの一時停止に踏み切った。同プロトコルは「スマートコントラクトそのものは安全であり、攻撃対象となったのはあくまでユーザーである」と主張している。

セキュリティ企業「PeckShield(ペックシールド)」の調査によると、被害に遭ったユーザーは攻撃者が仕掛けた悪意あるトランザクションを承認してしまい、ウォレット内資金を操作する権限を渡していたという。被害額は債務ポジションを除外して、約1,350万ドル(約20億円)とみられている。

今回の事態を受け、ヴィーナスプロトコルは公式Xを通じて今後の対応策を提案。借入金の返済や資金供給などの部分的な復旧、攻撃者ウォレットの強制的なリクイデーションなどのタイムライン計画を共有し、ガバナンストークン「XVS」保有者による投票を行う形でこれら計画を実行するに至った。

今回の一件は、XVSのトークン価格にも大きく影響を与えている。執筆時点では6.06ドルと前日比0.82%安で推移しているが、2日には一時5.70ドルを割り込む場面もみられた。市場では投資家心理の冷え込みが鮮明となっており、フィッシング攻撃が与えた影響の大きさを物語っている。

XVSの価格推移
出典:TradingView

スマートコントラクトの一時停止は、ユーザー被害拡大を防ぐ迅速な対応だった。だが、DeFi(分散型金融)が持つ「非中央集権性」に反するという見方もできるため、この対応には賛否が分かれそうだ。分散化の原則と現実的なセキュリティ対策とのバランスをどう取るべきか、DeFiの課題がまた浮き彫りになった形だ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.84円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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