大手資産運用会社の「VanEck(ヴァンエック)」が、分散型取引所(DEX)「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」のネイティブトークンであるHYPEの現物ステーキングETFを米国で申請し、さらに欧州でも同様のETP(上場取引型金融商品)を計画していることがわかった。10日、海外メディア「Blockworks(ブロックワークス)」が、同社の従業員への取材に基づき報じた。
欧州でもETP計画、投資家へのアクセス拡大狙う
ブロックワークスの取材に対し、ヴァンエックのデジタル資産商品ディレクターであるカイル・ダクルス氏は、HYPEが「Coinbase(コインベース)」のような米国の主要な暗号資産(仮想通貨)取引所にまだ上場していない点を指摘。「十分な需要がある」にもかかわらずアクセスが限定的であるため、同社のHYPEステーキングETFは「米国の投資家により良いアクセスを提供する」ものになると述べた。
さらにダクルス氏は、この投資商品の純利益の一部をHYPEの買い戻しに充てることを検討していると明かした。現在ハイパーリキッドは、プラットフォーム収益のほぼすべてをHYPEの買い戻しに利用しており、ヴァンエックのETFがこのモデルを踏襲すれば、HYPEの価値向上にさらに貢献する可能性がある。
具体的な申請時期については明言を避けたものの、ヴァンエックはこれまでもイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)のETFを他社に先駆けて申請しており、今回もその動向が注目される。

USDH発行権競争との関連は否定
この動きは、ハイパーリキッドのネイティブステーブルコイン「USDH」の発行権を巡る競争が激化する中で報じられた。この競争には、ヴァンエックのCEOであるジャン・ヴァンエック氏の息子、ニック・ヴァンエック氏が設立したステーブルコイン発行企業「Agora(アゴラ)」も参加している。
しかし、ダクルス氏は、今回のETF申請計画はアゴラのUSDH入札とは「完全に別個」のものであり、両社が別々の事業体であることを強調した。
ヴァンエックによる今回の申請計画は、ハイパーリキッドエコシステムとHYPEにとってさらなる流動性と広範なアクセス獲得に向けた一手になりそうだ。
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