トランプ米大統領は10日に『11月1日付で中国からの輸入品に100%の追加関税を課す』と表明。中国のレアアース(希土類)の輸出規制に関して『貿易で極めて攻撃的な姿勢を取った』と批判した上で対抗措置を打ち出した形だ。
マーケットは米中の対立激化を懸念して、ドル円(USD/JPY)や金(ゴールド)を中心にリスクオフ(より安全な資産に資金が向かう動き)が活発化。ただし、米中が貿易交渉継続に向けて柔軟姿勢を見せたこともあり、先週末に一気に強まったリスクオフは小康状態となっている。
ドル円は首相指名選挙に向けた各党の交渉が争点

自民党総裁選では高市早苗総裁が誕生。同氏が掲げる積極財政や緩和的な金融政策などの景気刺激策を期待して、マーケットでは株高や円安などの『高市トレード』と呼ばれる現象が発生。ドル円は今年2月ぶりとなる一時153円前半まで上昇した。
しかし、公明党の連立離脱により、今月20日以降に召集される臨時国会での首相指名選挙で高市氏が選出されるか不透明感が高まったことから、14日14時時点では151円台後半を推移中と、高市トレードの巻き戻しが起きた。
今週は首相指名に向けた水面下での交渉が活発化することが予想されるため、憶測情報によってもマーケットが敏感に反応する点には注意したい。
テクニカル面では高値は153.20~153.30円付近、安値は151.10~151.00円付近がカギとなる。米中貿易摩擦と首相指名に関する情報の方向性が一致すると一気に抜けてくる展開も考えられるため、これからの展開を注意深く見守っていこう。
ゴールドは国内初の1グラム2万2,000円台(1オンス4,100ドル台)に到達

金(ゴールド)は国内初の1グラム2万2,000円台に到達。米中貿易摩擦への懸念から、安全資産と呼ばれるゴールドやシルバーなどの現物資産への買いが集まった。
足元、米国の金利引き下げ観測、ウクライナや中東情勢の不安、FRB(米連邦準備制度理事会)に関する不安など様々な要因が重なっていたが、ここにきて米中貿易摩擦が重なったことが10日(金)からのゴールド価格高騰に繋がっている。
テクニカル面では4,060ドル付近を支えに継続した上昇が予想される。一時的な調整局面は発生するが、一筋縄では解決できない問題が山積みであるため、方向性は今後も変わらないはずだ。