米財務省(Treasury)は17日、ステーブルコイン規制法「GENIUS法」3条を実施する規則案(NPRM)を公表した。決済用ステーブルコインの「米国内での発行」と「米国内に所在する者への提供・販売」を定義するもので、連邦官報への掲載から60日間、パブリックコメントを受け付ける。
「発行」は発行者による最初の移転
GENIUS法は「発行(issue)」という語を定義していない。規則案は連邦規則集(12 CFR)第15章に新たにパート1523を設け、発行を発行者による決済用ステーブルコインの最初の移転と定義する。直接か間接かを問わず、口座への記帳も含む。
その移転によって、発行者以外の者がトークンを使用・移転する権利、または換金・償還・買い戻しを受ける権利を得ることが条件となる。この整理により、ミント済みでも発行者のトレジャリーに置かれたままのトークンは発行済みとみなさない一方、保有者のウォレットへ直接ミントする行為は最初の移転に当たる。
償還や買い戻しで発行者の手元に戻ったトークンを、あらためて第三者へ移す行為も新たな発行として扱う。
「発行者(issuer)」の定義も新設した。償還・換金・買い戻しの義務を負い、かつ価値の安定を維持すると表明する、またはその合理的な期待を生じさせる者を指す。ホワイトラベル契約でブランドのみを提供する者は発行者に当たらない。
ただし、無許可の発行を助けた場合は別の条文が働く。同法3条(f)は、無許可発行に故意に関与した者へ1件あたり最大100万ドル(約1億5,900万円)の罰金、最長5年の禁錮、またはその併科を定めており、規則案はマーケットメイクや発行手続きの主要工程への協力などを関与の例として挙げた。
「米国内に所在」を個人と法人で切り分け
規則案は「米国内に所在(located in the United States)」を個人と法人に分けて定義する。個人については米国内に物理的に所在することを指し、米国居住者でない者の一時的な滞在は除外する。
逆に、一時的に国外にいる米国居住者も対象外となる。財務省は、海外の発行体と長年の関係を持つ非居住者が休暇で米国に滞在している間にステーブルコインを受け取った場合を例に挙げ、この発行体へ米国内所在者向けの要件と罰則をすべて課すのは合理的でないと説明した。
法人は、米国または州の法律に基づく設立か、主たる営業所が米国内にあるかで判断する。
そのうえで、発行が「米国内」で行われたとされるのは、発行時点で発行者が米国内に所在する場合か、米国内に所在する者へ発行した場合に限られる。発行者と相手方の双方が国外にある発行は含まない。
加えて規則案は、米国外の発行体向けにセーフハーバーを置いた。4条件を満たせば、米国内での発行とはみなさない。
条件は、米国外に所在すること、相手が米国内に所在しないと合理的に信じていること、米国内所在者への発行を避ける方針・手続き・管理体制を書面上だけでなく実際に運用していること、米国内の者を標的とする広告や勧誘を行っていないこと──の4つを指す。
海外発行体のトークン、事業者は表明に依拠可能
3条(b)は提供・販売を二段構えで制限する。(b)(1)は2028年7月18日から、デジタル資産サービスプロバイダー(DASP)が米国内所在者へ許可発行体以外のステーブルコインを提供・販売することを禁じる。規則案は、18条(a)の要件を満たす海外発行体のトークンもこの禁止の対象外になると明記した。
(b)(2)は施行日から適用され、海外発行体のトークンを扱う際の条件を定める。
海外発行体が合法的命令(lawful order)や相互取り決めに従う技術的能力を持ち、実際に従うことが条件となる。規則案は、DASPが発行体側の表明に依拠できるとした。
ただし合理的なデューデリジェンスの実施を求め、8条に基づく二次流通の禁止措置が出ていないことの確認を最低限の内容として挙げた。表明が虚偽だと知り得る立場にある場合、依拠は認められない。
提供・販売に当たる行為の例としては、米国内所在者への直接の勧誘、米国内所在者が購入できる旨の広告、所在地の検知・制限を回避する方法の助言などを列挙している。発行体がDASPを兼ねる場合があることも明示した。
ベッセント財務長官は、GENIUS法が決済用ステーブルコインの枠組みを定めたとしたうえで、財務省として実施を急いでいると述べ、幅広い関係者からの意見提出を求めた。
パブリックコメントは連邦官報への掲載後60日以内に、regulations.govを通じて受け付ける。GENIUS法の施行予定日は2027年1月18日、3条(b)(1)の適用開始は2028年7月18日となる。
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