フランクリン・テンプルトン、ブラックロック、JPモルガン、DRWといった大手金融機関・暗号資産(仮想通貨)企業のCEOやCOOは21日、米連邦準備制度理事会(FRB)主催の「決済イノベーション会議」で、金融資産のブロックチェーン上での発行・取引を指す「トークン化」の未来について語った。
「5年後、金融取引の主流はオンチェーンに」DRW ドン・ウィルソンCEO
フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソンCEOは、自社が2020年からオンチェーンMMF(マネー・マーケット・ファンド)を運用している実績に触れつつ、ブロックチェーン技術を「単なるプログラミング言語」と定義。その応用が金融の非効率性を根本から覆す可能性があると述べた。
特に同氏は、「単一の信頼できる情報源」を持つことで、システム間のデータ照合作業が不要になり、コストを大幅に削減できる点を評価しているという。そして、テクノロジーの普及は遅効性があるとしつつも、5年後が「爆発的な普及の転換点になる」との予測を述べた。
DRWのドン・ウィルソンCEOもこれに同調し、5年後の未来について「頻繁に取引されるすべての金融商品はオンチェーンで取引されるようになる」という見解を明かしている。
ブラックロックのロブ・ゴールドスタインCOOは、自社の戦略を伝統市場とデジタル資産市場の「橋渡し」と表現。しかし、トークン化は「まだ第1イニングですらない」という現状認識を明らかにしている。それでも、トークン化の普及は「『If(もし)』ではなく『When(いつ)』の問題だ」と断言した。
JPモルガンのカラ・ケネディ氏は、「顧客のための現実世界の課題解決」が自社の取り組みの中心であるとし、トークン化された米国債を用いた日中レポ取引の効率化や、銀行グレードの預金トークンの可能性を例示した。
ケネディ氏はトークン化の設計において「トークン保有者が原資産に対するすべての法的権利と資格を持つことを保証する」カストディの枠組みが不可欠であると主張。規制遵守の重要性を強く訴え、「AML/KYC要件は、特に機関投資家にとって交渉の余地がないものだ」と述べた。さらに、伝統的金融の教訓を活かすべきだとして、「我々は伝統的な世界での経験から十分に学んでおり、この分野(トークン化)での実験においてそれらの過ちを繰り返す必要はありません」と語った。
これらの議論からも分かるとおり、大手金融機関各社は金融商品のトークン化とオンチェーン上で取引される未来は、必ず訪れるものと考えているようだ。5年後に向けて、各社がどのような取り組みをしていくのか、それによりどのような未来が訪れるのか、注目しよう。
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