ステーブルコイン・USDTを発行管理するTether(テザー)は13日、タイ王国警察および米シークレットサービス(USSS)と連携した国際共同作戦により、東南アジア各地で活動する大規模詐欺ネットワークに関連する約1,200万USDT(約18.5億円)の押収に貢献したと発表した。
テザーは累計で32億ドル超の不正資金を凍結
この作戦は、タイの技術犯罪抑制部門(TCSD)が主導し、オンライン詐欺とマネーロンダリング(資金洗浄)の撲滅を目的とした広範な取り組みの一環として実施された。
タイ王国警察によると、当局はタイ人51名、外国人22名の合計73名の容疑者を逮捕し、約1,200万USDTを含む総額5億2,200万バーツ(約24.9億円)以上の資産を押収した。
テザー社のパオロ・アルドイーノCEOは、今回の成果について「この作戦は、ブロックチェーンの透明性が、法執行機関による迅速かつ効果的な犯罪対応を可能にすることを示した」とコメント。「当社は、不正資産の凍結や被害者の保護を通じて、USDTが世界的な商取引における透明性の高いツールであり続けるよう、世界中の法執行機関を支援していく」と述べた。
同社は過去1年間で、以下のとおり複数の不正資金押収において法執行機関と積極的に協力してきたことを明かしている。
- 約2億2,500万ドル(約347.7億円)のUSDT押収に関わる重大な法執行措置への支援が米国司法省(DOJ)に認められた。
- ロシアの制裁対象取引所ギャランテックスに関連する2,300万ドル(約35.5億円)の不正資金凍結を支援。
- バイビットのハッキングに関連して、900万ドル(約13.9億円)の関連資金の凍結を支援。
また、これまでに59の管轄区域で290以上の法執行機関と協力し、3,660以上のウォレットをブロックし、不正行為に関連する資産を累計で32億ドル(約4,945億円)以上凍結していると明かした。
暗号資産(仮想通貨)企業が犯罪行為の捜査を支援することは、業界の透明性を示すための重要な取り組みだ。今回も、デジタル資産の悪用を防ぐというテザー社の継続的な取り組みが、国際的な法執行機関との連携によって改めて示された形と言えるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.53円/1バーツ=4.78円)




