米SEC、偽暗号資産取引所と投資クラブを提訴──SNS誘導で21.8億円以上を詐取

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • 米SEC、SNSを起点とした投資詐欺で偽の暗号資産取引所3社と投資クラブ4団体を提訴
  • 被害額は1,400万ドル以上、専門家を名乗ってSNSのグループチャットへ投資家を誘導
  • 出金希望者には「前払い手数料」という名目で追加送金を求める二次被害も発生

米証券取引委員会(SEC)は22日、自称暗号資産(仮想通貨)取引所3社と4つの投資クラブを投資詐欺の容疑で提訴したと発表した。SECによると、被告らは2024年から2025年初頭にかけて、米国の一般投資家から少なくとも1,400万ドル(約21.8億円)を不正に集めていたという。

実在企業の偽トークン投資を呼びかけ、出金依頼には手数料名目で追加送金を要求

SECの訴状によれば、犯人グループはFacebookやXなどのSNS広告を通じて投資家を誘導し、メッセージアプリ上のグループチャットに参加させていた。チャット内では金融専門家を装い、「AIが分析した投資情報」を提供すると説明することで信頼を獲得し、投資意欲を高めていたとされる。

その後、投資家に対し「Morocoin」「Berge」「Cirkor」といった暗号資産取引所での口座開設と入金を促していた。これらのプラットフォームは、投資家に対して自社が政府の認可を受けた正規の取引所であると虚偽の情報を共有していたという。

さらに被告らは、実在する企業名を無断で使用し、実体のないセキュリティ・トークン・オファリング(STO)への投資話を持ちかけていた。投資家が送金した資金は実際に運用されることなく、海外の銀行口座や暗号資産ウォレットに即座に移されたという。

なお、出金を求めた投資家に対しては、「前払い手数料」と称して追加送金を要求する被害も報告されている。

SECのサイバー・新技術ユニットのチーフ、ローラ・ダレアール氏は声明で、「本件はSNSを悪用して米国の一般投資家を標的とする、極めて一般的かつ壊滅的な被害をもたらす詐欺形態だ」と述べ、形態を問わず証券詐欺を厳しく追及する姿勢を示した。

SECは全被告に対し、将来的な証券関連活動を禁止する恒久的差止命令と民事罰を求めているほか、取引プラットフォーム各社には不正に得た利益を利息付きで返還させる不当利得返還も請求している。また、投資家に対し、投資前には必ず公的な登録情報を確認するよう注意を呼びかけた。

暗号資産を巡る投資詐欺は手口を巧妙化させつつ拡大しているため、個人投資家には一層の慎重さが求められている。今回の提訴は、暗号資産時代における投資家保護の重要性を改めて示すものと言えそうだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.6円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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