米SEC、過去の訴訟を見直しの可能性|規制明確化も検討

JinaCoin編集部
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SEC新指導部、仮想通貨政策で柔軟な規制改革を検討

トランプ前大統領が新政権の発足を控える中、米国証券取引委員会(SEC)の暗号資産(仮想通貨)政策が大きく転換する可能性が浮上している。ロイター通信が16日に報じたところによると、SEC内の共和党幹部が仮想通貨に関する訴訟や規制の見直しを準備しており、これには業界全体に影響を及ぼす重要な改革が含まれるとされる。

SECは新政権発足後数日以内に、仮想通貨に関する過去の訴訟の見直しを開始する予定である。この見直しでは、詐欺容疑に直接関係のない訴訟の一部が再評価され、最終的にいくつかの訴訟が凍結または取り下げられる可能性が報じられている。

SECはこれまでに少なくとも83件の仮想通貨関連の執行措置を講じてきた。その多くは、仮想通貨が証券とみなされる場合に規制が適用されるという前提に基づいている。しかし、被告側は仮想通貨が証券ではなく商品に近いと主張しており、この点が長期的な論争の焦点となっている。

SECの新指導部として期待されるヘスター・ピアース委員とマーク・ウエダ委員は、トランプ政権下で仮想通貨規制を柔軟に見直す可能性が高い。両者は、仮想通貨が証券に該当するかどうかの基準を明確化するため、新たな指針や規則を策定するプロセスに着手する予定だ。

さらに、SECは、一部の上場企業が第三者のために仮想通貨を保有する際に負担となっている会計ガイドライン(SAB 121)の撤回を検討しているとされる。このガイドラインは、企業が顧客の仮想通貨を保管する際に、それらを負債として計上することを求めており、業界から「コストを著しく増加させる」として批判されていた。

課題と懸念

しかし、政策転換には多くの課題も伴う。詐欺や不正行為に関与した案件に対しては、SECが引き続き厳しい姿勢を維持する必要がある。また、執行措置の取り下げがSECの一貫性を損なう可能性があり、規制の政治化への批判も懸念される。

元SEC弁護士であるフィリップ・ムスタキス氏は、「執行措置を取り下げることは危険な前例を作る可能性がある」とロイター通信に語った。一方で、SECが過去の措置を見直し、和解交渉を再開することで業界との信頼関係が改善する可能性もあると指摘している。

仮想通貨規制の見直しは、イノベーション促進と不正防止の両立が鍵だ。新政権の政策転換が市場に好影響を与える可能性がある一方、過度な緩和には慎重な対応が求められる。SEC新指導部が透明性を重視した規制を構築すれば、市場の信頼性と成熟が進むだろう。今後の動向が世界の規制に与える影響も注目される。

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