リップル、マスターカードと提携──RLUSDでカード決済のブロックチェーン化実証へ

伊藤 将史
10 Min Read
Highlights
  • Ripple、マスターカード、ウェブバンク、ジェミナイが提携、RLUSDをXRPL上で活用しカード決済のブロックチェーン決済を実証
  • 規制下の米国銀行がパブリックブロックチェーン上で伝統的カード取引を決済する初のコラボレーションの一つ
  • RLUSD流通量は10億ドル超、NYDFS認可のもと現金・現金同等物で完全裏付け、今後数ヶ月で規制当局承認を経て統合開始

暗号資産(仮想通貨)XRPおよびステーブルコインRLUSDを展開する「Ripple(リップル)」は5日、マスターカード、ウェブバンク、および暗号資産取引所ジェミナイと提携し、伝統的なカード決済の決済プロセスにリップルのステーブルコイン「RLUSD」を活用する共同実験を行うことを発表した。

規制下の米国銀行によるパブリックブロックチェーン決済の先駆的試み

この提携の目的は、XRPレジャー(XRPL)上で稼働するRLUSDが、マスターカードと、ジェミナイクレジットカードの発行銀行であるウェブバンクとの間の、法定通貨カード取引におけるブロックチェーンベースの決済プロセスを促進できるかを検証することにある。

リップルによると、この取り組みは、規制下にある米国の銀行が、規制下にあるステーブルコイン(RLUSD)をパブリックブロックチェーン(XRPL)上で使用して、伝統的なカード取引の決済を行う「初のコラボレーションの一つ」とのことだ。この取り組みは、リップルがジェミナイおよびウェブバンクと進めてきたジェミナイクレジットカードの実績を拡張するもので、今年初めに開始されたXRPエディションが、デジタル資産を従来型決済プログラムに統合するモデルケースとなっている。

マスターカードのデジタル事業部門グローバル責任者であるシェリー・ヘイモンド氏は、「我々は、オープンループ(複数の企業が連携して成り立つ決済システム)のステーブルコイン決済を金融の主流にもたらすために、グローバル決済ネットワークを使用している」とコメント。ウェブバンクのジェイソン・ロイド社長兼CEOは、「銀行は、革新的なブロックチェーン技術と伝統的金融システムの安定性を橋渡しする独自の立場にある」とした。

リップルのモニカ・ロング社長は、「このパートナーシップは、RLUSDのような規制されたデジタル資産が、決済をいかに強化できるかを示す有意義な一歩であり、他のカードプログラムがステーブルコインを採用する道を開くものだ」と述べた。

RLUSDは米ドルを裏付けとするステーブルコインで、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)のトラストカンパニー認可のもとで発行され、現金および現金同等物の準備金によって完全に裏付けられている。2024年末の開始以降、RLUSDは流通量が10億ドルを超え、DeFiプラットフォーム、リップルの国際送金ソリューション、機関投資家パートナーによる採用に支えられている。

リップルによると、パートナー企業は今後数ヶ月のうちに、規制当局の承認取得を条件として、XRPL上での初期RLUSDオンボーディング(導入プロセス)を実施し、マスターカードとウェブバンクの既存決済プロセスへの統合計画を開始する予定だ。デジタル資産を既存金融に組み込むための重要なステップといえるリップルらの取り組みに、今後も注目したい。

関連:リップル、6.1兆円の評価額で771億円を調達──XRP・RLUSDで決済領域拡大へ
関連:コインベースとマスターカード、英ステーブルコイン企業BVNKの買収で競合

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube