ステーブルコイン「PYUSD」を発行するパクソスは16日、社内送金プロセスにおける技術的なエラーにより、意図しない量のPYUSDを誤って発行(ミント)したことを明らかにした。
22分後にバーン完了、顧客資産や市場への影響は確認されず
パクソスは公式Xで、「東部標準時午後3時12分、内部送金の一環としてパクソスが誤って過剰なPYUSDを発行した」と発表。しかし、「エラーは直ちに特定され、過剰に発行されたPYUSDは即座に全量バーン(焼却処分)された」という。誤発行から、22分後にバーンは完了したと見られる。
同社は、「これは内部的な技術エラーであり、セキュリティ侵害ではない。顧客の資金は安全だ」とし、すでに根本原因への対処を完了したことを報告している。
ブロックチェーン上のデータによると、今回誤って発行されたPYUSDの総額は、300兆ドル(約4.51京円)という破格の量だったようだ。2024年の全世界の名目GDP(国内総生産)の合計が約110兆ドルであるため、その2.7倍近い価値が一瞬にして生み出されたことになる。

なお、これほどの規模の過剰発行であったにもかかわらず、それが市場に流通することはなかったため、PYUSDの価格や市場全体への影響は確認されていない。
今回のインシデントは事なきを得たが、本来は裏付け資産をもとに発行されるはずのステーブルコインが何らかのミスによって大量に発行できてしまうこと、そして異常な動きを突き止めて対処するまでに22分もかかってしまったことは、PYUSDの管理体制への不信感を呼びそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.66円)