ブロックチェーンプロジェクト「Phala Network(ファラネットワーク)」は28日(日本時間)、現在接続しているPolkadot(ポルカドット)のパラチェーンを終了し、イーサリアムのレイヤー2(L2)へ完全に移行するという提案をコミュニティに提出した。
将来性のある技術・エコシステムにリソースを集中
ポルカドットは、異なるブロックチェーン同士が相互に通信し、連携できる「相互運用性」の実現を目指すプロジェクトである。パラチェーンは、リレーチェーンと呼ばれるメインチェーンに接続される個別のブロックチェーンのこと。個別プロジェクトは、オークション形式でこのパラチェーンに接続する権利(スロット)を獲得する必要がある。
ファラネットワークが現在利用しているポルカドットのパラチェーンスロットは、2025年11月20日に期限切れを迎える。このタイミングに合わせ、プロジェクトはエコシステムの基盤をポルカドットからイーサリアムL2へと移すことを提案したようだ。
提案書によると、この移行の主な目的は以下の通りだ。
- 将来性のある技術への集中:ファラネットワークの次世代機密コンピューティング技術は、「Intel(インテル)」の最新ロードマップに沿ったTDX CPUやGPUベースのソリューションに焦点を当てている。これに対し、現在のパラチェーンが依存する旧世代のSGX技術は、ハードウェアやエコシステムのサポートが先細りしている。
- 強力なEVMエコシステムとの連携:開発者の活動、流動性、そしてツールが最も充実しているイーサリアム(EVM)エコシステムに合流することで、プロジェクトの成長を加速させる。
- スケーラビリティの確保:イーサリアムL2に移行することで、ステーキングやガバナンスを含む、よりスケーラブルな基盤を提供できる。
チームは、「パラチェーンスロットを維持することは、限られたスケーラビリティのインフラに我々を閉じ込めながら、大きなリソースを消費することになる」とコメント。リソースをより将来性のあるイーサリアムL2に集中させる決断をしたようだ。
提案がコミュニティ投票で可決された場合、移行は11月20日のスロット期限に合わせ、11月26日から30日にかけて段階的に実行される計画だ。
ポルカドットは2020年にメインネットが稼働開始して以来、新たなエコシステムを構築するプロジェクトとして期待されていたものの、現時点では期待されたほどの成長を実現できてはいない。ファラネットワークの離脱は同エコシステムにとっても大きな痛手となりそうだ。
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