パーペチュアルDEX(分散型取引所)市場は10月、月間取引量が1.3兆ドル(約199兆円)と過去最高値を突破した。前月比で約85%増加というこの結果は、オンチェーン取引の活発化と共に、パーペチュアル取引需要が再び高まっていることを示唆している。

アスター、前月比14倍の急成長で首位に浮上
DeFi(分散型金融)データ分析サイト「DeFiLlama(ディファイラマ)」によると、10月の市場を牽引したのはAster(アスター)、Hyperliquid(ハイパーリキッド)、Lighter(ライター)の3つのプラットフォームとなっている。執筆時点での過去30日間の取引量では、アスターが約3,060億ドル(約47兆円)で首位を獲得。僅差でハイパーリキッドが約3,021億ドル(約46兆円)、ライターが約2,773億ドル(約42兆円)と続いている。
注目したいのはアスターの急成長だ。これまでハイパーリキッドやライターの影に隠れていたが、10月に入り一気に勢力を拡大。9月時点では約180億ドル(約2.7兆円)の取引量にとどまっていたが、わずか1か月で約14倍に跳ね上がった。この背景には、アスターが進める報酬設計の最適化やトレーダー向けインセンティブ施策の強化があるとみられる。

一方で、長らく市場を支配してきたハイパーリキッドは、前月比で約8%の取引量増加を記録。しかし、8月のピークである約3,960億ドル(約60兆円)を更新するに至らなかった。

アスターやライターが今後エアドロップを控えている点から、ハイパーリキッドの一部トレーダーが両プラットフォームに資金を移した可能性は否定できない。こうした競合プラットフォームの魅力的なインセンティブは、ハイパーリキッドユーザーの分散、ひいては取引量の低迷に繋がる要素となり得るだろう。
10月の結果を受け、長らく続いたハイパーリキッドの独走体制は終わりを迎えた。市場は現在、アスター・ハイパーリキッド・ライターの3つが均衡する「三すくみ」状態へ移行している。次なるパーペチュアルDEX市場の勝者がどのプラットフォームになるのか、市場での関心は今後高まっていきそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.6円)




