暗号資産(仮想通貨)取引所「OKX(オーケーエックス)」は23日、2025年における実績を公式Xで公開し、認可・規制を受けた市場での取引高が前年比で53倍に拡大したことを報告した。同社の急成長の背景には、欧州経済領域(EEA)への本格展開と米国市場への参入があるとみられる。
規制順守と分散化、OKXが示す取引の未来とは?
OKXは今年1月、マルタ金融サービス局(MFSA)から暗号資産包括規制であるMiCAライセンスを取得。これにより、同社は1つの認可でEEA加盟30カ国にサービスを提供できる「パスポート制度」を活用し、広範な欧州市場で事業展開が可能となった。規制に準拠した形での展開が、機関投資家や一般利用者の信頼獲得につながったと考えられる。
また、4月には米国市場へも参入。中央集権型取引所(CEX)に加え、セルフカストディ型のWeb3ウォレットの提供を開始した。主要通貨の現物取引だけでなく、Web3ウォレット上でのトークンスワップやブリッジなどが可能となった。さらに、地元銀行口座と連携した米ドル入出金にも対応し、利便性を高めている。
米国ではこうした要因に加え、7月に成立したGENIUS法によるステーブルコイン規制枠組みの確立や政府による暗号資産規制緩和の流れも、同社の事業拡大を後押ししたと考えられる。
さらに実績データからは、取引の在り方そのものが変化している様子も読み取れる。CEXの取引高が16%増にとどまった一方で、分散型取引所(DEX)の取引高は262%増と急伸。日次アクティブウォレット数も100%増加と過去1年で倍増しており、取引所に資産を預けない形での利用が急速に広がっている。
オンチェーン分析企業コイングラスのデータによれば、OKXは過去24時間の取引高で約210億ドル(約3.2兆円)を記録し、取引所別ランキングで2位に位置している。だが、約480億ドル(約7.2兆円)を記録する首位のバイナンスとは依然として大きな差が開いている状況だ。
OKXの2025年の実績は、規制順守と分散型技術の融合が成長の鍵であることを示している。今後、各国の制度整備が進む中で、同社がどこまで市場での地位を高められるかが注目されそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.6円)




