ノルウェーの暗号資産(仮想通貨)企業「K33 Research(K33リサーチ)」のリサーチ責任者であるヴェトル・ルンデ氏は12日、ノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)が運用する政府系ファンドが、間接的なビットコイン(BTC)保有量を大幅に拡大させていると公式Xで報告した。ルンデ氏によると、同ファンドの2025年第2四半期における保有量は7,161 BTCに到達。前年同期の2,446 BTCから192%増という大幅な伸びを記録しているという。
機関投資家の動き、市場の成熟に影響するか?
NBIMは現物のビットコインやビットコインETF(上場投資信託)を直接保有せず、代わりにビットコインを大量保有する企業の株式を取得する形でポートフォリオを構築している。これにより、ビットコインの保管や秘密鍵の管理といった複雑な運用業務やセキュリティリスクを回避できる。ビットコイン価格上昇による直接的な値上がり益は得られないが、価格上昇に伴いビットコイン保有企業の株価が上昇すれば、その恩恵を間接的に享受できる仕組みだ。
今回の保有量増加についてルンデ氏は、NBIMがビットコイン財務戦略を導入する企業への投資比率を高めたことが主な要因だと分析している。保有量増加の立役者となったのが「Strategy(ストラテジー)」や「MARA Holdings(マラ・ホールディングス)」といった米国大手企業だ。さらに、日本の主要プレイヤーである「Metaplanet(メタプラネット)」の名前も挙がっている。これらの企業による積極的なビットコインの蓄積により、NBIMの間接的な保有量は上半期だけで3,340 BTCにまで押し上げられたという。
企業や国のビットコイン保有量を可視化する「BitcoinTreasuries(ビットコイントレジャリーズ)」によると、ノルウェーのビットコイン保有量は890 BTCとなっており、主要国に対して大きく遅れをとっている状況だ。今回のNBIMの間接的なビットコイン保有量の拡大が、国内企業のビットコイン投資意欲の刺激につながることに期待したい。
仮想通貨市場が依然として高いボラティリティを持つ中で、NBIMのような機関投資家による間接的な関与は、今後の市場安定性やビットコインの認知度向上にも影響を与える可能性があるだろう。ビットコインを巡る投資環境は、多様なアプローチを組み合わせることでまた新たな段階へと進みつつある。
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