オンチェーン分析企業「Bubblemaps(バブルマップス)」は12日、分散型取引所(DEX)「MYX Finance(MYXファイナンス)」の運営チームがMYXトークンのエアドロップから不正に1億7,000万ドル(約250億円)相当を請求した疑いがあると公式Xで報告した。
不正請求ウォレットと運営関連アドレスの繋がり判明
バブルマップスが10日に投稿した内容によると、エアドロップ開始の1ヶ月前に約100の新規ウォレットが暗号資産(仮想通貨)取引所「OKX(オーケーエックス)」からほぼ同時刻に同額の資金をBNB(ビルドアンドビルド)で受け取っていたという。これらウォレットのすべてがエアドロップの対象となっていた。
しかし、これらのウォレットには過去の取引履歴が一切なく、エアドロップ請求が始まった5月7日に一斉に請求を実行していたことが判明している。このことから同社は、単一の団体が多数のウォレットを利用してエアドロップの報酬を最大化する「シビル攻撃」である可能性が高いとみている。
当初は運営チームの直接的な関与を示す証拠は見つかっていなかったが、その後の調査で状況は一変。不正請求に使われたウォレットの一部が、MYXトークンのクリエイターアドレスに関連するウォレットと共通の入金アドレスを使用していた事実が判明した。これにより、運営チームに対する疑念がさらに強まっている。
バブルマップスの10日の投稿に対し、MYXファイナンスの運営チームは「オープン性を尊重し、一部ユーザーのアドレス変更依頼に対応した。不正な意図はなかった」と釈明している。しかし、これが具体性に欠ける回答と受け止められ、疑念を払拭するには至らなかった。バブルマップスの新たな分析により、不正請求への関与を疑わせる状況証拠が増しているが、運営チームは現時点で追加声明を出していない。
8日にはMYXトークンが前日比+303.30%の急騰を記録し、MYXファイナンスは良くも悪くも注目の的になっている。バブルマップスは調査を継続するとしているが、運営の関与が明らかになればトークン価格への影響も避けられないだろう。急成長する新興DEXの信頼性が問われる事態の結末に、市場からの注目はさらに高まりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.47円)