米格付け大手ムーディーズ・レーティングスは米国時間6日、ステーブルコインUSDSとDAI(
DAI)を発行するスカイ・プロトコル(旧メイカーダオ)に、長期カウンターパーティー・リスク格付け(CRR)B3を付与したと発表した。見通しは安定的。スカイの発展を支援するSky Frontier財団によると、ムーディーズがステーブルコインのプロトコルを格付けするのは初めてとなる。
ムーディーズがスカイ・プロトコルにB3、自己資本の薄さが重荷
B3は、投資適格の下限であるBaa3より6段階低い投機的格付けにあたる。格付けの対象側の依頼に基づく、依頼格付けである。
USDSは、メイカーダオが2024年8月にスカイへ名称を変えた際に導入されたDAIの後継のステーブルコインだ。DAIと1対1で交換でき、現在はどちらも流通している。
ムーディーズは評価の理由として、分散型金融(DeFi)での堅実だが限られた運営実績や、資産の相当部分の流動性が比較的高いこと、過去の信用損失の少なさを挙げた。一方で、自己資本が非常に薄いことや、信認に左右されるステーブルコインの負債、DAOの構造に伴うリスクがこれらを打ち消しているとした。
ムーディーズによると、9月時点の有形の普通株主資本は約9,000万ドル(約142億円)で、有形の運用資産約100億ドル(約1.6兆円)の0.9%程度にとどまる。ガバナンスで定めた中期の目標は1.5億ドル(約237億円)で、ムーディーズはこの自己資本の水準を重大な信用上の弱点と位置付けた。
損失が自己資本を上回った場合、スカイ・プロトコルはガバナンストークンを新たに発行して売却を試みる仕組みになっている。ムーディーズは、それでも足りなければUSDSとDAIの価値が切り下げられることになるとしている。
資産の内訳は、約45〜50%がステーブルコインとトークン化されたMMF、約25%が暗号資産(仮想通貨)を担保にした貸し付けで、担保ではイーサリアムが最も多く、ビットコインが続く。2020年以降の累計損失は約1,500万ドル(約24億円)で、年率では0.05%弱だった。
ムーディーズは、財務面の当初の評価「ba1」から5段階引き下げて、単独の評価を「b3」とした。ステーブルコインの負債の性質と、DAOの構造などに伴う運営・ガバナンス・法務・規制上のリスクを反映したという。
スカイ・プロトコルの格付け、引き上げと引き下げの条件
ムーディーズは、格付けを左右する条件として、有形の普通株主資本を有形の運用資産で割った自己資本比率などを示した。
| 方向 | 主な条件 |
|---|---|
| 引き上げ | 自己資本比率が2.5%を超えて維持される見込みとなり、収益性、流動性、資産のリスクが現状を保つ場合など |
| 引き下げ | 2四半期以上連続の赤字、自己資本比率が0.5%を下回る見込み、USDSとDAIの合計に対するUSDCの保有が20%を下回るなど流動性の悪化、資産のリスクの増加など |
現在の自己資本比率は0.9%程度で、引き下げの目安の0.5%と引き上げの目安の2.5%の間にある。
ムーディーズは、スカイ・プロトコルが監査済みの財務諸表を作成していないことや、マネーロンダリング対策と本人確認(AML・KYC)の仕組みを運用していないことも指摘した。ただし、監査がないのはDAOの仕組みによるもので、報告義務の違反ではないとしている。
Sky Frontier財団によると、S&Pグローバル・レーティングもスカイ・プロトコルにB-の格付けを付けており、主要な格付け会社2社から格付けを受けたステーブルコインのプロトコルはスカイだけだという。S&PのB-は、2025年8月に付与されたものだ。
同財団は7日の発表で、格付けの引き上げにつながる要因を検討し、近くロードマップとして公表するとした。同財団は、プロトコルの長期的な目標を投資適格の格付けとしている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.81円)
