メタマスク、TRONをネイティブ統合──1億人超ユーザーが直接接続可能に

木本 隆義
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世界最大規模の分散型自律組織(DAO)「TRON DAO(トロン・ダオ)」は19日、自己管理型暗号資産(仮想通貨)ウォレット「MetaMask(メタマスク)」と戦略的提携を結び、同ウォレットにTRONネットワークを直接統合する計画を発表した。

戦略的提携でウォレット利用の利便性向上

本件は、次世代インターネットとしてのWeb3普及をにらんだ、重要な布石とみられる。

今回の統合が実現すれば、1億人以上のメタマスクユーザーは、自身のウォレットから直接、トロンエコシステム上のさまざまなサービスを利用可能となる。これまで異なるブロックチェーン間の資産移動は、しばしばユーザーにとって煩雑な手続きを必要とした。だが、今回の提携はそうした障壁を取り払い、より滑らかなクロスチェーン体験を提供するものだ。

トロンはアジアや南米、アフリカといった高成長地域で強力な地盤を築いてきた。それゆえ、今回の提携はメタマスクにとって、これら新興市場のユーザーを取り込む絶好の機会となるだろう。メタマスクの事業開発ディレクター、アンヘル・ゴンサレス=カピッツィ氏は「トロンが持つアジアでの強い存在感は、我々が地域とエコシステムを繋ぐ架け橋を築く助けとなる」と述べ、グローバルな利用者拡大への期待を隠さない。

一方、トロン・ダオにとっても、この提携の意義は大きい。報道担当のサム・エルファラ氏は「メタマスクの広範なユーザー基盤は、分散型アプリケーションへのきわめて重要な入り口だ」と指摘。その上で、「このプラットフォームへの統合は、トロンがグローバルなデジタル金融の基盤インフラであるとの立場を強固にする」と語り、自らのエコシステムの価値向上に自信をみせた。両者の思惑は、Web3へのアクセスを拡大し、よりオープンで包括的なブロックチェーンの世界を築くという点で、見事に一致している。

この協力関係は、単なる技術的な統合に留まるものではない。両者は今後、分散型技術の世界的な認知度向上と普及を目的とした、共同でのマーケティング活動も展開する予定だ。統合の具体的な仕様やユーザー体験に関する詳細については、今後数ヶ月のうちに追って公表されるという。

Web3の導入が世界中で加速するなか、今回の提携は異なるブロックチェーン間の相互運用性とユーザーの利便性を高める大きな一歩と評価できる。巨大ウォレットと急成長ネットワークの連携が、今後の仮想通貨市場の勢力図にどのような影響を与えるのか? その動向を多くの関係者が見守っている。

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リージョナルスペシャリスト(SEA)。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。『月刊くたばれ経済学』『月刊くたばれMBA』編集長。著書『マウンティングの経済学』ほか。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。来タイ13年。仕事のご依頼はツイッターにて。 ツイッター:@t_kimoto
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